2013年08月14日

「ドリーム・ガールズ」来日公演(13年)

Dreamgirls(13年)

※舞台の内容に触れてますのでこれからご覧になる方はご注意を。

渋谷の東急シアター・オーブで行われている「ドリーム・ガールズ」の来日公演を見てまいりました。

本題に入る前に渋谷のシアター・オーブ。これってその昔パンテオンや渋谷東急等の映画館が入っていた東急文化会館の跡地に立ってるのですけど、建物の外観をじっくりと見るのも足を踏み入れるのも全くのお初。年に10回前後は行っている渋谷だというのにいつも見て回るのはセンター街のほうなので、どうやら10年ぐらいこっち方面には来てなかった模様です。
様変わりしたガラス張りの高層ビル、あんまり生活に縁のなさそうなテナント、渋谷の街から明治神宮等を一望出来る11階からのロケーションに、しばし過ぎた時間に思いをはせてみたりした私なのでした。

閑話休題。

「ドリーム・ガールズ」は、ガール・グループの最高峰シュープリームスと所属レーベルであったモータウンの興亡の実話をベースに、少女たちの栄光と挫折、再生の物語を素晴らしいオリジナル・ナンバーで綴った傑作ミュージカル。その昔チャリティ・コンサートでのオリジナル・キャスト、ジェニファー・ホリディの神パフォーマンスにノックアウトされ、07年に念願の映画化が果たされた際にはビヨンセや新星ジェニファー・ハドソンの魂のこもった演技・歌声に拍手喝采を送った大好きなミュージカルです。

かねてから一度は生の舞台を見てみたいと思っていた作品でしたが、相変わらず奥手な私なので今回も自分からはアクション起こす気はありませんでした。ところが本当に有難い事に友人からお誘いのメールをいただいたので喜び勇んで見に行かせていただいた次第です。

シアター・オーブ自体新しい劇場という事でもちろんきれいですし割とシックな内装で落ち着いた感じ。客席数に比べると舞台はそれほど大きい印象はありませんでしたが、その集約感がそれはそれで良さげな雰囲気を漂わせておりました。
1階後方の席でしたが、舞台の両脇に電光掲示板(?)式の字幕が出てくるタイプなので、舞台を見ながら字幕も気に掛けるにはベストな席だったと思います。

で肝心の舞台ですが、嫌な感じに聞こえるかもしれませんけど、正直あまり大きな期待してはいなかったのです。何故って前述したWジェニファーやビヨンセの超A級パフォーマンスが既に土台としてあるわけで、あれを超えるものがそうそう見れるわけないよなぁとどうしても思ってしまっていたから。
そういうわけでやはりと言うか、スタオベ必至の名曲「And I Am Telling You」は爆発力の点で物足りなさが残りましたし、ディーナ(ダイアナ)役の人にはもう少し声に華やかさが欲しかったかなぁと。脇として登場してくるグループ(特に男性コーラス・グループ)のダンスもこの曲にこの振付?みたいな当時のお約束をあまり再現しないテイストに違和感を感じたりしてしまいました。

物語自体はほぼ映画と同じ展開でしたけど、カーティス(ゴーディー)が白人受け狙ったサウンドでヒットを狙うという部分が映画より明確に描かれてましたかね。後あまり流れの中では気になりませんでしたけど一番大きい変更はジミーが死なない事。破滅型歌手の象徴としての存在ですから、そのくだりもあってよかったかなと思いました。

映画ではエフィーやディーナの物語に焦点があてられていた分どうしても他のメンバーの印象が薄くなってしまっていましたが、後半解散へと向かう流れの中で披露された1曲が現メンバー3人のそれぞれの思いを伝える役割となっていて秀逸。この1曲の存在で物語により深みが加わったように思いました。映画化以降の新演出という事でビヨンセ(ディーナ)が歌った独立の決意表明「リッスン」はディーナとエフィーが和解する場面に歌詞違いで登場して新たな見せ場のひとつに。個人的には今までピンときていなかったエフィーの復活曲「アイ・アム・チェンジング」の良さに気付けたのは収穫でございました。

以前You-Tube等でオリジナルの舞台の一部を見たときは場面転換等が工夫を凝らしたもので面白かったのですが、最近は映像技術が進んだ関係でほぼ舞台装置は映像で代替。役者さんと映像とのコラボが見どころのひとつになってる部分でもあり、若干お手軽感も出てしまったかなぁといったところでした。

と、まぁ文句ばかり並べたようになってしまいましたが、総合的にはやっぱりとっても楽しかった(smile)。
名曲ばかりですしねー。
勢いづいて帰りには皆さんをお誘いしてカラオケへ。もちろん歌うはエフィー/Suzuの「And I Am Telling You I'm Not Going」。気持ちでは負けませんから、お許し下さい(smile)。

素敵な舞台に連れてってくださって有難うございました!






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2012年07月01日

マーカス・コリンズ 『マーカス・コリンズ』(12年)

Marcus Collins:Marcus Collins(12年)

ブログをお読みいただいている方はおわかりかと思いますが、最近私英国産のシンガーに注目しております。

英国産…というとちょっと聞こえがいいですが、ようは英国開催のオーディション番組「Xファクター」出身の歌手の皆様ですね。JLSとかオリー・マーズ、ワン・ダイレクションの情報等を追っていると、どうしても「Xファクター」関係の情報が目に入るようになってしまって、あの人もこの人もぉ♪(by大阪ラプソディー)状態になってしまうのです。

昨年開催された「Xファクター2011」では女性ヴォーカル・グループのリトル・ミックスと言う方々が優勝されたのですが、こちらは現在デビュー・アルバムの制作中。一足お先にとアルバム・デビューを飾ったのが、準優勝となった本日ご紹介のマーカス・コリンズでございます。

「Xファクター」は何度かご説明しているようにボーイズ、ガールズ、グループ、シニアの4セクションに分かれて優勝を争うのですが、マーカスはボーイズ枠の代表としてコンペに参加。惜しくも優勝は逃しましたけど、そのお目々ぱっちりなキュート系ルックスと爽やかソウルな歌声で人気者となり、メジャー・デビューの切符を手に入れました。

爽やかソウル…って、なんか訳わかんないですけど(smile)、あまり粘着性のない歌声でコクは適度にあるけどさらっと聞けるというか、アメリカン・コーヒーで作ったカフェオレみたいな?(余計不明)。クリス・ブラウンと比べるより、ブルーノ・マーズやマルーン5なんかと並べるとしっくりくるようなタイプのシンガーでございます。

ファースト・シングルでトップ10入りのヒットになったのはロック・バンド、ホワイト・ストライブスのカバー曲である「セブン・ネイション・アーミー」。この曲、英国のNMEという音楽誌が選んだ「史上最低のカバー・ソング30曲」の1曲に選ばれてしまったりしたのですが、原曲をうまくクールなポップ・ソウルに変換していて私は嫌いじゃありません。ホワイト・ストライプス自体がかなり崇拝系のバンドなので、その筋の方から反発をくらってしまったのかもしれませんね。



60'sソウルの温かみを再現したような「ドント・サレンダー」、賑やかなホーン隊を引き連れて派手にキメるセカンド・シングルの「マーシー」、ジャッキー・ウィルソンの名曲のマイルド・カバー「ハイヤー・アンド・ハイヤー」、こちらも初期デトロイト・ソウルな雰囲気の「イッツ・タイム」、ファンの「ウィ・アー・ヤング」にフューチャーされて知名度をあげたジャネール・モナエのカバーとなるリズミカルな高速ノリの「タイトロープ」、アゲアゲ系ソウルの「フィール・ライク・アイ・フィール」、イントロが「ユー・キープ・ミー・ハンギング・オン」してる「ブレイク・ディーズ・チェイン」等、古き良き時代のR&Bを今の時代にリファインしたような楽曲が並んでおり、何だかこうまったりしてしまうような心地よさがあるのが好印象でございます。

「Xファクター」でボーイズのメンターを務めているのは我らがテイクザットのゲイリー・バーロウ。教え子のデビューに力を注がない先生はいない訳で、「フィール・ライク・アイ・フィール」のソングライトを手掛けているのはゲイリーですし、エクザクティブ・プロデューサーも彼が務めております。カバー意外の楽曲はマーカス自身が制作にも加わっており、もちろん彼の資質と持ち味あっての事ですが、どこかに漂う品の良さはゲイリーの関与というのも大きいのかなと思いますね。

デビューしたてですし、正直セカンド・シングルの「マーシー」は194位と惨敗してしまいましたけど、まだまだこれから、頑張ってほしいと思いますです。



ちなみに彼はオープンリーなゲイ。目がね、語ってました(smile)。

チャートデータ(UK)
アルバム 7位
シングル
「Seven Nation Army」:9位
「Mercy」:194位



ホワイト・ストライプスの原曲はこちら。なるほどなぁという感じ→http://youtu.be/0J2QdDbelmY
モナエさんの「Tightrope」もいいですよ→http://youtu.be/pwnefUaKCbc


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2012年06月22日

メリッサ・モーガン『ドゥー・ミー・ベイビー』(86年)

Meli'sa Morgan:Do Me Baby -Expanded Edition-(86年)

メリッサ・モーガンが86年にリリースしたデビュー・アルバムでございます。

一時期希少盤化してましたけど数年前に一度リイシュー。今年になってチェリー・ポップ参加のSoul Comレーベルからボーナス・トラック7曲収録のリマスター仕様で再発売されました。
86年と言えばホイットニーのデビューアルバムがリリースされた翌年(実はメリッサ、ノンクレジットでこのアルバムのカシーフ・プロデュース曲に参加してるそうです)。当時ホイットニーのデビュー・アルバムは相当に聴きこんだものでしたが、それと共ににわかに自分の中でクローズ・アップされていったのが若手の女性R&Bシンガーという「ジャンル」でした。ホイットニーみたいな歌がもっと聴きたい!という思いから触手を伸ばしていったのが、ミキ・ハワードでありメリッサ・モーガンだったのですが、そんな中でもメリッサのこのアルバムは特にお気に入りでよく聴きましたし、自分の中ではホイットニーの裏ライバルとしての位置づけも勝手に確立。カシーフが参加した87年のセカンド『ラブ・チェンジズ』も愛聴盤でしたし、90年の『レディ・イン・ミー』、92年の『スティル・イン・ラブ・ウィズ・ユー』も充実した内容の好盤でございました。

ただし残念ながらこれ以降ふっつりとアルバムのリリースが途絶える事に。セールス的な伸び悩みがあったのは事実ですけど、彼女のような素晴らしいシンガーが作品を発表する場がないなんて、本当に悲劇ですよね。05年になって突如復活作『アイ・リメンバー…』を発表。当時と変わらぬ美貌と歌声を披露してくれたのは嬉しかったのですが、それだけにその失われた10数年の「もったいなさ」を痛感させられた気もいたしましたです。

そして本作。やっぱり何度聴いても素晴らしいですよね。

ハッシュ・プロダクションらしいNY派の華麗で洗練されたサウンドが敷き詰められた本作。プロデュースには自身もシンガーとして活動しているルセット・ウィルソンやハッシュの花形ポール・ローレンス等が参加しています。
楽曲はHIP-HOP世代にはジェイ・Z&メアリー・J・ブライジ「キャント・ノック・ザ・ハッスル」のネタ曲としても有名だといううねりのあるミディアム・グルーブ・ナンバー「フールズ・パラダイス」、アーバン・コンテンポラリーな魅力溢れる滑らかなメロディーが心地いい「ハート・ブレイキング・デシジョン」、しっとりとした哀感の漂うスロウ「ドゥー・ユー・スティル・ラブ・ミー?」、高速ビート・ナンバーの「アイル・ギブ・イット・ホエン・アイ・ウォント・イット」、プリンスの直球性愛バラードをふくよかに歌い上げたタイトル曲でR&BNo.1ヒットの「ドゥー・ミー・ベイビー」、チャカ・カーン系譜のメラメラと燃え上がるヴォーカルが堪能出来る派手目のアップ・ナンバー「ゲッティング・トゥ・ノウ・ユー・ベター」、ラウンジ・タイプの穏やかなバラード「ナウ・オア・ネバー」、細かな打ち込みビートで軽やかに駆け抜ける「ライズ」等全8曲。

昨今のR&Bは、バラードにしても何だか音数が多くてせわしない印象を受けるんですが、この頃の楽曲はゆったり構えているというか、音の密度が詰まってなくて大らかな印象。
メリッサのちょっとスモーキーで温かみのある伸びやかな歌声が、こういう空間の広いメロディの中を心地よく泳いでいく様はまさに耳の御馳走、至福の時間でございます。

ボーナス・トラックは「ドゥ・ミー・ベイビー」「フールズ・パラダイス」「ゲッティング・トゥ・ノウ・ユー・ベター」のシングル・ミックスやインスト、12インチ・バージョン等の他に、エディー・マーフィーの主演映画『ゴールデン・チャイルド』のサントラ収録曲だったダイアン・ウォーレン作の「ディーパー・ラブ」が2種のバージョンで収録。「ディーパー・ラブ」は初めて聴いたように思いますが、サントラ曲らしく明朗な印象のポップ・ナンバーになっています。

アルバムのクレジットを見ると、メリッサはカバー曲以外全曲のソングライトにも参加、シンセサイザーの演奏やプロデュースにも名を連ねており、実に才色兼備なシンガーだったんだなぁと改めて思わされました。
またあの燃えるような素晴らしい歌声が聞きたい、そう感じているのは、私だけじゃないですよね?

チャートデータ
アルバム
Pop 41位/R&B 4位
シングル
「Do Me Baby」:Pop 46位/R&B 1位
「Do You Still Love Me?」:R&B 5位
「Fool's Paradise」:R&B 24位
「Heart Breaking Decision」:チャート入りなし
「Deeper Love」:R&B 74位




メリッサの最近のライブの模様です。お姿は多少変われど歌声はパワー・アップ!

Do You Still Love Me? →http://youtu.be/4juElYdBrX4



過去のある女。メリッサはアリソン・ウィリアムズ、エリック・マクリントンと共にハイ・ファッションというグループを組んでおりました。こちらは度々リイシューされる82年発表の人気盤『フィーリン・ラッキー・レイトリー』。

posted by Suzu at 22:45| Comment(3) | TrackBack(0) | R&B系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年06月02日

ダイアナ・ロス『ライブ・イン・セントラル・パーク』(83年)

Diana Ross:Live In Central Park(83年)


興奮のあまり(?)さらにいつもよりしまりがなくなってますがお許しを…。


ダイアナ・ロスが83年7月21日と22日にニューヨークのセントラル・パークで行った歴史的な野外フリー・コンサートの模様を収めたライブ作品。

何が歴史的かというと、約80万人が集まったと言われる1日目のコンサートが暴風雨によりライブ途中で中止を余儀なくされ、翌日に振替公演を行ったといういわくつきのライブなのです。本盤には翌日の振替公演の模様をメインに、中止となった1日目のコンサートについてもフル収録するという30周年記念(…じゃないかと)に相応しい内容となっています。

当時全世界に生中継されたというお話なんですが、全米では新しく開局したばかりの有料ケーブルテレビShowtimeが新規加入者獲得のために独占中継したということで、コメントにもありましたが実際はほとんどの人が見れなかった模様。ただし生ではなかったようですが日本でも当時このライブの模様はテレビ放映されたようで、リアルタイムなファンの中にはご覧になったという方もいらっしゃるのではないかと思います。

私自身は全くのお初で。海賊盤のビデオないしDVDやYou-Tubeでも断片的に見る事は出来たようなんですが、ビデオ等には出会う機会がなく、断片に見るのは嫌だなぁと思っていたのであえて見ないようにしてきたというところもあるので、本当に全くのまっさら状態での鑑賞になりました。

オープニング、DIANAの文字がANAID(フィルム・プロダクション)に変わるアニメ(?)が懐かし過ぎ。
本編のほうは1日目の中止となったコンサートのダイジェスト映像から始まるのですがとりあえずそちらは後に回すとして、2日目は前日の暴風雨が嘘のような快晴の中ライブがスタート。セントラル・パークは前日に劣らぬ人で埋め尽くされていて、黒人、白人の比率でいうと7:3ないし6:4って感じでしょうか。やはり何だかんだ言っても彼女はアフロ・アメリカンを代表するスターなんだなぁとこういうのを見ると実感させられます。熱狂する聴衆に迎えられ、身体にぴったりとフィットした紫のレオタード・スーツに全身スパンコールをつけたスタイル抜群のダイアナじゃないと着こなせないような衣装で勢いよく舞台に飛び出すダイアナ(勢いよすぎて階段でけつまずいてます…)。



ライブは高らかに「アイム・カミング・アウト」でスタート。集まってくれた聴衆への感謝の気持ちを込めた『ウィズ』からの「ホーム」、そして私にとって特別な曲とMCを入れてから歌いだすのは何と『ドリームガールズ』の「ファミリー」!。これBOXセット『フォーエバー・ダイアナ』にも音源が収録されていましたけど、あれだけお気に召さなかった『ドリームガールズ』のナンバーをさらっと歌ってのけるんですから懐が深いですよね。さすが、ダイアナ。

続く「イッツ・マイ・ハウス」は大人モード・コーナーなんでしょうか?腰をバッコンバッコンと突き出しながら「愛を送ってるの」なんて宣まったかと思いきや、「悪い子のほうが魅力的よね?」とセクシー・ポーズで挑発しておいてからの「ポケットからピストルが出てるわよ!」なんて下ネタトークを展開。とにかく一番エンターテイナーとしてノッテいる時期ということもあるのか、想像以上にやんちゃでアグレッシブなステージを繰り広げるダイアナ。もう次は何をしてくれるのかと目が離せなくなってしまいました(smile)。



当時の新譜であった『ロス』からの嬉しい選曲「レッツ・ゴー・アップ」、恒例のコール・アンド・レスポンスで盛り上げる「リーチ・アウト・アンド・タッチ」、そしてロックンロール仕様で(いつもですけど)テンポ・アップして披露される「シュープリームス・メドレー」でひと山作った後は、じっくりと聴かせるビリー・ホリデイの「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド」。静かな曲だと後ろまで聞こえてるか心配だわとしゃべってますけど、まるでビリーが降りて来たかのような神々しい歌唱に会場もじっと聴き入っています。本当にこの歌声、しびれるくらいにステキです。

長尺でたっぷりと聴かせる「ミラー・ミラー」は圧倒的なパワー・ヴォーカルで押しまくり、勢い余って最後はマイクを投げ捨てる始末(smile)。続けて同じマイケル・センベロが作ったヒット曲で『フラッシュダンス』の「マニアック」を披露。ツーコーラス目からは男性ダンサーを従えた激しいダンスを見せてくれます。
前年にフィル・コリンズがリバイバル・ヒットさせた事にも触れながら歌われる「恋はあせらず」、シックのプロデュースでソロでは最大のヒットとなった「アップサイド・ダウン」の後は、プチ・オールディーズ・コーナーって感じで「ソー・クロース」と「恋は曲者」が歌われます。「ソー・クロース」ではセットから落ちそうになってヒヤリとさせられる一幕も。



そしてここからはモータウン時代の仲間の曲をという事で、スティービー・ワンダーの「リボン・イン・ザ・スカイ」とマイケル・ジャクソンの「ビート・イット」を披露、どちらもこのライブでしか聴けない貴重なものですし、とくに「リボン・イン・ザ・スカイ」はダイアナのスウィートな歌声が映えた名唱。この「ビート・イット」を受けて、マイケルにプレゼントされた「マッスルズ」になだれ込んでいくわけですが、ここで再びの挑発タイム(smile)。「筋肉に自信のある人はシャツを脱いで見せて!」と大号令。ステージにまでシャツレスの男性を上げての筋肉自慢大会が繰り広げれらます。

そしてもう究極に美しい「エンドレス・ラブ」を涙まじりに歌い上げて会場全体を甘い空気に包んだ後は、怒涛のラスト・ナンバー「マホガニーのテーマ」から「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」で華麗に幕を下ろすダイアナ。普通だったらこのまま盛り上げて終了なんでしょうけど、やはり何十万人もの観客が興奮状態のままではまずいという配慮からか、本ライブのテレビ放映時のタイトルにもなっている『フォー・ワン・アンド・フォー・オール』の元になっている『ザ・ボス』収録の「オール・フォー・ワン」を歌いながら静かにクロージング※。ダイアナ自ら会場からの静かな退出を即するアナウンスを繰り返してエンドとなります。
※この流れは当時のライブの鉄板のようです。

で、特典映像として収録されている1日目の中止コンサートは本当にスリリングなドキュメントになっていて、ハーレム出身の少女ダンサー・チームを従えたアフリカンなオープニングから、次第に雨雲に覆われる会場。雨を止めようと観客と一緒になって祈りを捧げながら、何とかライブを決行しようとするダイアナ。そして中止を決断しなくてはいけなくなった時の彼女の対応等、とにかく見どころ満載。強風にストールをなびかせながら踊るように雨乞いをするダイアナは本当に魔法使いのようですし、「エンドレス・ラブ」を歌うダイアナの雨に濡れた美しい表情(そしてその中に垣間見えるライブの続行か中止かを決断しなくてはならない懊悩)はまさにハプニングが生んだ名シーンと言えます。



実際高圧電流を使用しているステージ周辺は命懸けでの作業だったようですし、80万人集まった観客をどう混乱なく避難させるかというのもかなり頭の痛い問題だったと思います。でまたよく映像を見ていると、雨が降ってるのはセントラル・パーク周辺の地域だけで、摩天楼の向こうのほうは晴れてたりするんですよね。
もう本当に、神様のいじわるというか、ダイアナの口惜しさははかりしれないものがあったのではないでしょうか。(若干の問題は引き起こしたようですが)翌日にリベンジが出来て本当によかったなぁと思いますです。

ダイアナのライブ映像作品っていうのは本当に少なくて、シュープリームス時代のライブをフルで収録したものは正規ではまだ発売されたことないんじゃないかと思います。ソロ時代のものでも、よく海賊版が出回っている『ザ・ボス』リリース後のラスベガスでのライブと、ジャズ・ライブを収めた『ストールン・モーメント』ぐらいしかなかった、はず。

なものですから、80年代の代表曲を含めたフル・コンサートを収録した作品は今回が本当に初めて。個人的にダイアナで一番思い入れがあるのは80年代のRCA期なので、同時代のカバー作品を含めてその時期の曲が聴けたのが本当に嬉しかったです。ライブとしての完成度はラスベガスのほうが上かもしれませんけど、野外ライブならではの開放感の心地よさ。そして何よりもノリにのってるダイアナ!オープニング映像で使われるアフリカ原住民的なコスプレ、アグレッシブなダンス、何だか「デジャブ」感がありましたけど、そうそうビヨンセがやってましたよね。でもビヨンセの20年前にもうダイアナが全部やってるじゃーん、みたいな。荒波のようなパワーで押し切るアップ・ナンバー、どこまでもスウィートに美しく歌い上げるバラード・ナンバー。ダイアナの前にダイアナなし、ダイアナの後にダイアナなし、なのです。

本当に良いもの見させていただきました。まだの方は必見です!




「Peaces Of Ice」&「I Cried For You」
You-Tubeを検索していたらDVDに収録されていない曲が…完全収録じゃなかったんですね。
そのうち完全版とか出たりして。



posted by Suzu at 00:30| Comment(6) | TrackBack(0) | R&B系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月30日

B.ハワード『ジェネシス』(10年)

B.Howard:Genesis(10年)

小ネタですけど。

B.ハワード、マイケル・ジャクソンが亡くなった時に次世代マイケルは誰?的な特集がよく雑誌で組まれていて、その中の一人で名前が挙がってた方でございます。

名前とジャケットだけが記憶に残っていた訳ですが、ブックオフのワンコイン・コーナーに並んでいたので何気なく手に取って帯の宣伝文句を読んでたら、何と彼、あのミキ・ハワードの息子さんなんですって。80年代のR&Bシーンにとって忘れられない女性シンガーの一人であるミキ、その息子がもうデビューとかしちゃう年代なのかぁと覚えたくない感慨を覚えつつ、ひょえ〜って事でお買い上げしてまいりました。

本国ではまだアーティスト・デビューにはいたっていないのですが、一応ソングライターとしてはニーヨやマーカス・ヒューストン、ジニュワイン等に楽曲提供を行っていて、いわゆる裏方から表舞台へというニーヨ型の展開を狙っている模様。母親の仕事つながりからジャクソン一家とのコネクションもあるようで、本作にもランディ・ジャクソンの娘がバック・コーラスで参加してたりしてますし、マイケルの『デンジャラス』を手掛けたテディ・ライリーも参加。まぁ話題つくりでしょうけど、当初マイケル・ジャクソンの隠し子では?なんて噂もあったみたいですね(実際父親はキミが在籍していたR&Bグループ、サイド・エフェクトのバンマス、オーギー・ジョンソン)。

ということで、宣伝にしても解説等にしても一生懸命マイケルと絡めて売らんかなしてるのアレなんですが、容姿、声質等も確かにジャクソン家っぽいんですよね。「スペンド・ザ・ナイト」なんて「ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール」を彷彿とさせるし、「アナンダ」の平和讃歌的な世界観もまんまマイケルだし。
音の作りは流行りのエレクトロ〜シンセ系で、シングル候補の「スーパーモデル」や「ダンスフロア」等ダンス・テイストのR&B作がずららとっと並んでおります。そのスムースな歌声も含めてとても聞きやすくていいなぁとは思うのですが、逆に引っ掛かりが少なくて、つるっと行き過ぎちゃう感じもありますね。どういう風に自分らしさ、個性を出していくかが今後の鍵なのかなぁと。

ようやく全米でも「ダンスフロア」のオンエアが4月から開始になったのだとか。ここはひとつお母様にためにも(マイケル絡みでも構わないので)曲が話題となって、本国デビューにこぎ着ければいいなぁと思いますです。頑張れ、ブランドン!

チャートデータ
チャート入りなし



色んなマイケル的要素が楽しめます。

「Super Model」→http://youtu.be/KElmIkmwlWo

こちらも盛りだくさんです(smile)。



アマゾン、プライスダウン中…。
お母様のベストと近作です。可愛い……。
posted by Suzu at 22:30| Comment(3) | TrackBack(0) | R&B系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月04日

ビリー・オーシャン『サドンリー』(85年)

Billy Ocean:Suddenly(85年)

何度かこちらでも触れてきましたけど、最近のリイシュー作品の充実ぶりとリリース量の多さはハンパがなくて。
私が追っているのはR&Bやポップス系が中心ですが、なかなか日の目を見なかったアーティストの作品の初CD化はもちろん、人気だったアルバムにボーナストラックを追加した物など、どうにもこうにもこちらの食指が動きたくなるような代物が月に数十枚単位でリリース。大概が限定生産という事もあって、この機会を逃すと次はいつ手に入れられるかわからないという焦りにも追われ、嬉しい悲鳴を上げ続ける事しきりなのです。

リイシューと言えば昔はRHINOが定番でしたけど、最近はUnidisc、Masterpiece、Wounded Bird、Funkytowngrooves、Cherry Red等専門レーベルも増え、なかでもしのぎを削ってリイシュー合戦を繰り広げてくれているのがFunkytowngroovesとCherry Redの2社。Funkytownのほうは80年代R&Bが中心ですけど、Cherry Redのほうは傘下に50近いカテゴリー分けされたレーベルを抱え、PWL系等80年代ポップスを中心とするCherry Pop、80年代R&B(ブラコン)のBig Break、もう少しソウルに特化したSOULMUSIC.com等、もうチェックするのだけで大変です(smile)。

まぁ初CD化のものはそれだけで有難いのですけど、人気作品のリイシューとなると追加されているボーナス・トラックの量や内容、ブックレットの充実度等が非常に重要なキーになるわけで。そういう点でこの2社を比べると、ボーナス・トラックの内容では拮抗していると言っていい両者ですが、ブックレットの充実度はもう雲泥の差。巷でプート盤と揶揄されるぐらい参加ミュージシャンの表記と解説があれば御の字なFunkytownに対し、Cherry Redのほうは解説、写真、チャート成績等情報量が豊富。資料としての価値も高く、ブックレットのためにお買い上げしたとしても後悔はないぐらいです。

と、いう訳で、そんな長ーい前置きをしておいて本日のお題はビリー・オーシャンが85年にリリースして大ヒットしたアルバム『サドンリー』。言わずと知れた80年代を代表するポップ・ソウルの名盤でございます。

90年代以降のいなくなりっぷりが相当なので今の方からすれば誰?って感じかもしれませんけど、80年代後半のビリーさんの攻勢ぶりは凄まじくて、わかりやすくチャート成績で言えばポップ部門で7曲がトップ10ヒット(うち3曲がNo.1)、R&B部門でも10曲がトップ10ヒット(うち4曲がNo.1)と、ポップとR&Bをまたにかけての大活躍。カリブ海にあるトリニダード・トバゴ共和国出身という出自からか、彼の作る音楽にはどこか南国的な大らかさが漂っていて、温かみのある歌声、(これも出自の影響か)嫌味にならないポップ志向等、80年代のまろやかなR&B=ブラック・コンテンポラリーを象徴するような存在がビリーさんでございました。
本作はあまりのヒット盤なので改めての解説も必要ないんですけど、久しぶりに聞いてみてもその耳辺りの良い歌声、サウンド、楽曲等は相互に相乗しあってパーフェクトな出来。ポップとR&B双方で1位を獲得した「カリビアン・クイーン」はマイケル・ジャクソンあたりを研究して作られたようですし、80年代バラードの定番と言っていい「サドンリー」の源泉はライオネル・リッチーかな。下積み期間の長かったビリーさん、しっかりと今受ける音楽とは何かというのを研究しての世界攻略だったようです。

でまぁ本盤をわざわざ取り上げたのは昨年Cherry Popからリイシューされたスペシャル・エディション盤をご紹介したかったから。
ボーナストラックは「カリビアン・クイーン」「ラッキー・マン」「ミステリー・レイディ」「ラヴァーボーイ」4曲のエクステンディッド・バージョン収録とまぁ普通なのですけど、今盤はブックレットが充実していて、15ページのカラー刷り、前半のしっかりとした作品解説に加え、後半6ページを使ってUKでのシングルとアルバムのディスコグラフィーをジャケット写真つきで掲載。資料価値も高いですし、何より見て楽しい。全てのリイシュー盤がこうあってほしいという理想的なお仕事がなされている逸品です。

チャートデータ(US)
アルバム
Pop 9位/R&B 3位
シングル
「Caribbean Queen (No More Love On The Run)」: Pop 1位/R&B 1位/AC 7位
「Loverboy」: Pop 2位/R&B 20位
「Suddenly」: Pop 4位/R&B 5位/AC 1位
「Mystery Lady」: Pop 24位/R&B 10位/AC 5位
「The Long And Winding Road」: AC 24位

アダルト・コンテンポラリー・チャートでも大活躍のビリーさん。
「カリビアン・クイーン」ではグラミーのベストR&B男性部門も獲得しています。



ビリーさんの近影。歌声は変わりませんが、ご本人はだいぶ変わられましたね。



最近リイシューされた1st〜6thまでのアルバム群。ヒット曲だけを楽しみたいならお手頃なベストがお薦めです。


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2012年04月29日

ジン・アカニシ『ジャポニカーナ』(12年)

Jin Akanishi:Japonicana(12年)

何だかこれって危険区域な気がするのでさらっといきたいと思います。

色んな意味のお騒がせで注目を集めているジン・アカニシさんの全米デビュー・アルバムでございます。
その名も『ジャポニカーナ』。何だか学習帳みたいな名前ですけど、こうつけないとK−POPと間違われるというアマゾンのカスタマー・レビューに妙な説得力がありました。

ジェイソン・デルーロをフューチャーしたファースト・シングル「テスト・ドライブ」はミニ・アルバム扱いでituneのダンス・アルバム・チャートで1位、セカンドの「サン・バーンズ・ダウン」も同じく1位と形に残る成績を収めたりしてる本作。
仕様は完全なる今米国で主流のサイバー系R&Bサウンドで、どれもなかなかにかっこいい仕上がり。ジンさんも思いっきり歌っちゃってる感じで悪くないです。前述の2曲や「カリフォルニア・ロック」「アフロディジアック」のようなイケイケ・モードの曲もあれば「ライク・ユー」や「セット・ラブ・フリー」等のメロウっぽく肩の力を抜いたものをあり、歌い手としてフレキシブルなところも見せてくれております。

出来としては本当に悪くないと思うんですが、ただこれ、向こうの人が聞いてくれるのかなぁと考えた時に、それはないんだろうなぁとも思っちゃうんですよね。別にこういう完全な米国仕様のサウンドなら自国のアーティストの作品を聴けば十分でしょうし、わざわざ突然やってきた日本の見知らぬ若者の少々怪しい英語を聴いて楽しいと感じでくれるほど甘くはないだろうなぁと。

東洋人なんですから(単純な発想で申し訳ないですが)その特性を生かしてオリエンタルR&Bとか打ち出してみたらどうなんでしょうかね?小手先ではなくもっと明確な差別化を図ったり、何かおやっと思わせる新しい(珍しい)ものがないと、厳しいと思うんですけど…。

夫にもパパにもなるんですし、どうせ我が道を行くなら貫いて頑張ってもらいたいものです。
成功さえすれば、外野は黙るしかないんですから。

チャートデータ
アルバム

シングル(iTunes Dance Album Chart)
「TEST DRIVE featuring JASON DERULO」:1位
「Sun Burns Down」:1位



正直本人出演のPVがYou-Tubeにアップされてるとは思いませんでした。JNSでは彼のだけ解禁状態なんだそうです。音はかっこいいので、聞いてみて下さい。

jin aka.jpg


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2012年03月30日

ラトーヤ・ジャクソン『イマジネーション』(86年)

LaToya Jackson:Imagination(86年)

ジャクソン一家のバッド・ガールこと、ラトーヤ・ジャクソンさんが86年にリリースした4thアルバム。

ラトーヤと言えば正直歌手というよりお騒がせタレントいうイメージが強く、ジャクソン家の中でも最も薄口なヴォーカルを聴かせ、目立ったヒットもないことから音楽的にはほとんど評価されていないというのが現状。よって私もディスコグラフィー等を今まであまりまともに調べたことはありませんでした。
記憶にあったのは数年前にCD化されたファーストと、唯一R&B本等で紹介されることのあるセカンド、リアルタイムだったフォル・フォースやPWL関与の『ゴナ・ゲット・ロック』ぐらいでしたが、この度AMGにも載っておらずエア・ポケットに入っていた84年の3rdと86年の4thがお馴染みFunkytowngroovesから同時にCD化。このところリイシュー・ラッシュでお財布の紐を締めたいところではありましたが、これを逃すとという焦燥感に押されてとりあえずのゲット。本日は後者のほうをご紹介したいと思います。

本作は80年代特有の丸みを帯びたシンセ・サウンドが全編に敷き詰められていて、当時を知る者としてはもうその音色だけで加点をつけちゃうといった感じの作品。

1曲目の「ヒーズ・ア・プリテンダー」。曲名からもしかして?との期待がありましたが、これがビンゴ。
個人的なお気に入りソングでモータウンの女性R&Bトリオであるハイ・イナジーや、「ドリームガールズ」のジェニファー・ホリデイが歌った曲と同じものでございました。本アルバムのプロデューサーを務めるGary Goetzman, Mike Piccirilloのコンビが作った作品で、なかなかにヒット感度の高いキャッチーな楽曲なので、3度目の正直として本アルバムにも投入、シングルにも選ばれてプッシュされたようですが、今回も残念ながらR&Bチャートで最高位76位とヒットには至らなかったようです(いい曲なんですけどね…)。
Gary Goetzman, Mike Piccirilloは80年代前後を中心に活躍したプロデュース・チームで、代表的な作品はスモーキー・ロビンソンの「ビーイング・ウィズ・ユー」やキム・カーンズの「モア・ラブ」、No.1ヒットになったロバート・ジョンの「サッド・アイズ」等。他にもナタリー・コールやティファニー、ステイプル・シンガーズ等人気シンガーの作品を数多く手がけています。
その他にもトロピカル調の「オン・ア・ナイト・ライク・ディス」に、ポインタース等を思わせるポップ・ロック・アプローチの「ベイビー・シスター」や「ウィーク・スポット」、派手目なシンセ・ダンス・ポップの「イマジネーション」、スウィート&メロウ系のミディアム「ラブ・トーク」等、なかなかにソング・オリエンティッドな楽曲が揃っていて楽しめます。

唯一ウィーク・スポットならぬウィーク・ポイントがあるとすれば、やはりラトーヤのヴォーカルが弱い事ですかね。いい感じにはまってる部分もあるんですけど、どうにもこうにも惜しい…みたいな。普段オリジナル尊重でダンス・ミックス的なものはあまり好みじゃないのですけど、今回ばっかりはボーナス・トラックで収録のよりビート・アップされた「イマジネーション」の各バージョン等、ラトーヤの非力なヴォーカルを補う効果を発揮していて大好きです。
また声質的には同じお仲間といっていいダイアナ・ロスをちらほら髣髴とさせる部分(「オン・ア・ナイト〜」なんて容易に「タッチ・バイ・タッチ」に変換可能)もあって、ダイアナがポップ・ロック路線をひた走っていた思い出深きRCA期とデジャブ。これがダイアナだったらさぞ…なんて身も蓋もない妄想が膨らんでしまいました。

そして解説を(英語なもので)斜め読みしていたら飛びこんできたのはJapanese Pop Superstar Minako Honda の文字。最初吉田美奈子とソラ目しましたけどもちろん本田美奈子さんのことですね。「ラブ・トーク」の解説で、美奈子さんが87年にリリースした海外録音アルバム『OVERSEA』の中で、「Girl Talk」と改題して同曲を歌っているとの記述でした。このラインで追ってみると、美奈子さんが同アルバム・リリース後の87年にはラトーヤとジョイント・コンサートを開いたそうですし、そういえば美奈子さんマイケルやバブルスと一緒に撮った写真もあったよなーなんて事まで思い出してみたり。意外なところで意外な名前に出会えてちょっと嬉しくなってしまいました(そして『OVERSEA』を注文してみた…)。

そんなこんなで80's好きには惹きつけられる要素大のアルバム。
こういう美味しい作品に出会えたりするから、Funkytown漁りは止められないんですよね。
86年と言えばジャネットの『コントロール』が大ヒットし始めた年。89年にはプレイボーイ誌でヌードを披露、91年にはジャクソン家の暴露本出版とお騒がせを発揮し始める前の、まだまだキュートさが売りだったラトーヤの素敵な作品でございます。
狭い層限定ですが、お薦めですよ。

チャートデータ
アルバム
チャートインなし
シングル
「He's a Pretender]:R&B 76位



キャッチーでしょう?



ダイアナの84年作、「Touch By Touch」収録です。
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2012年02月21日

I Will Always Love You…

以前書いた内容と重複する箇所も多いですし、いつもどおり回りくどかったりもしますがお許しを。

ホイットニー登場

ホイットニー・ヒューストンという名前を初めて意識したのは、確か雑誌FMファンに載っていた当時の現役アイドル早見優さんの紹介記事が最初だったように記憶しています。「すべてをあなたに」のシングル・ジャケットと共に、お気に入りだという旨の短い紹介文が載っていました。

時は85年。80年代の頭ぐらいから少しずつ洋楽に興味を持ち始めていた私。映画好きだった私はまず女優としても活躍していたバーブラ・ストライサンドを好きになり、彼女が歌手として活動している事を知ると、彼女の作品を集めて毎日聞いていました。吸収の早い年代でしたのでほどなく他に何かと探し始めて、当時女性洋楽スターと言えばこの人達だったダイアナ・ロス、ディオンヌ・ワーウィック、オリビア・ニュートン・ジョン、シーナ・イーストン等を聴き始め、そうこうするうちに、いわゆる最新のヒット・チャートというものに目を向ける様になっていったのです。

ラジオという媒体をあまり利用しなかったので、必然的に情報はテレビと雑誌から。テレビと言えば、やはり小林克也さんの「ベスト・ヒットUSA」でした。毎週見始めてほどなくチャートを急上昇してきたのが、ホイットニーの歌う「恋はてさぐり(How Will I Know)」でした。ポップなサウンドに美しくて張りのある歌声、抜群の美貌とスタイルは実にPV映えしていました。あぁこれがあのホイットニーなんだと、すぐさまデビュー・アルバム(CDでした)を買いに走りましたとも(smile)。米盤のジャケットは、彼女をまずブラック・マーケットで成功させなくてはいけないというマーケティング上の狙いから、わざとアフロ・アメリカンな部分を強調したスタイリングのアーバンなものにしたという話ですが、日本盤では白の縁取りで、海岸で白いハイレグの水着を着て屹立する彼女の美しい容姿を全面に押し出したジャケットを採用。曲順も、米盤ではデビュー曲であるカシーフ・プロデュースのアーバン・コンテンポラリー色の強い「そよ風の贈り物(You Give Good Love)」からグルーヴィーな「シンキング・アバウト・ユー」という流れでスタートさせるのに対し、日本盤ではポップな「恋はてさぐり」から大人気のパワー・バラード「オール・アット・ワンス」へというレコードで例えるならAB面を逆にした構成でスタート。最近ではこういう各国の内情に合わせた仕様がとられる事は少なくなりましたけど、それだけに彼女をいかにスターダムにのし上げるかと言う計画が、ワールドワイドで綿密になされていたのがうかがえるエピソードだと思います。

とにもかくにもホイットニーのデビュー・アルバムは日本はもちろんの事世界中で大ヒット。米国での成功を例に挙げれば、売上は現在までで1300万枚、1位獲得週数は14週、シングルはNo.1が3枚にNo.3が1枚、86年から87年にかけてこのアルバム絡みで受賞した賞数はグラミー、AMA、ビルボード等併せて20以上に上ります。面白い記録としてご紹介しておきたいのが、発売から1位獲得までの週数が50週間かかったというもの。85年の2月14日に発売されて、初めて1位を獲得したのが86年の3月8日、実に1年以上の期間をかけてチャートを登り詰めた訳で、これがデータが古くなければ史上5番目の記録になっています。以上のデータから見ても、いかにこのアルバムが愛されたかがわかりますよね。

私も本当に、このアルバムは聴き倒しました。このアルバムほど聞いていて、開放感というものを感じる作品は今の今までありません。自由で、しなやかで、美しくて、力強くて。まさに日本盤ジャケットのホイットニーの視線がまっすぐ天に向けられているように、彼女の輝かしい未来を妨げるものなど何もないのではないか、そう信じずにはいられませんでした。いえ本当に、私は当時そう信じていたんです。

ポップの女王

今回の訃報を伝えるニュースの中に、彼女を「ポップの女王」と評した記事がありました。
ポップの女王、輝かしい称号ですけど、私はホイットニーを精神的に追い込んでいったのは、このジャンルの垣根だったように思えてならないのです。

正確な事を書きたかったので色々検索してみたのですがヒットしなかったので記憶で書かせていただきます。確かセカンド・アルバムがリリースされた後の、アメリカン・ミュージック・アワードじゃなかったかと思うのですが、R&B部門の最優秀女性アーティストに彼女が選出された際、会場からブーイングが起きたという事件がありました。アメリカン・ミュージック・アワードはグラミーと違って聴衆の好みが割と素直に反映される賞でしたので、たまたまその会場にいた一部の人の考えと合わなかっただけとも言えるのですが、あまりネガティブな話題を聴いた事のないホイットニーだったので、これは私の中でとても印象に残った出来事でした。

前述したデビュー・アルバムのチャート成績は全てポップ部門の記録なのですが、ホイットニーのポップ部門とR&B部門のチャート成績を比較した場合、アルバムはポップで1位が5枚に対してR&Bで6枚、シングルだとポップで1位を獲得したのが11曲に対してR&Bでは8曲、トップ10ヒットはポップで23曲に対してR&Bで26曲という具合。トータル的に見ても彼女は正真正銘のR&Bの女王であった訳ですが、世間の評価は早い段階から彼女をR&Bの女王とは扱っていなかったように思います。デビュー・アルバムの「すべてをあなたに」からセカンド・アルバムの「ブロークン・ハーツ」までで達成したポップ部門での7曲連続1位獲得という未だ破られていない大記録。実はこの時点でのR&B部門の成績を見ると、あの名バラード(ポップでは連続3作目の1位となった)「グレイテスト・ラブ・オブ・オール」が3位という結果に終わった後、セカンド・アルバムからシングル・カットした楽曲は、ポップでの輝かしい成功とは裏腹に1曲も1位を獲得出来ずに終わってしまったのでした(たぶんこういう事が、AMAでのブーイングにもつながっているのではないかと…)。

実は同時期に、彼女がポップ部門でなしえた7曲連続1位獲得と同じ記録を、R&B部門で達成した女性アーティストがいます。ホイットニーのデビュー・アルバムから遅れる事1年、ジャム&ルイスと組んで今までのアイドル路線から一転、自我を主張するアーティストとして生まれ変わったジャネット・ジャクソンでした(ジャネット、この前後で12曲連続トップ3入りという大記録も持っています)。ポップ部門でも巨大な成功を納めたジャネットですが、その後も彼女の活動基盤はR&Bに根差したものがあり、常にアフロ・アメリカンからの絶大な支持を受けていくことになります。ホイットニー側がどの程度ジャネットの活動を意識していたかはわかりませんが、このセカンド・アルバムのR&B部門での失敗を受け、90年の次作『アイム・ユア・ベイビー・トゥナイト』では当時ジャム&ルイスと双璧であった人気のR&B系プロデュース・チーム、LA・リード&ベイビーフェイスを招聘、旬のLaファイス・サウンドを得てのR&Bへの軌道修正を行い、見事R&B部門での5年ぶりの1位を獲得させる等、失地の回復を図っていったのでした。

そして92年、銀幕デビューに加えてあの「オールウェイズ・ラブ・ユー」という一大名曲を生んだ『ボディーガード』という特大ヒットをものにした後、特にR&B部門で大きなヒットになった『ため息つかせて』、ゴスペル・アルバムでもある『天使の贈りもの』というサントラ作に続いて、さらに最新のストリート感(Hip-Hop的な要素)を取り入れた名作『マイ・ラブ・イズ・ユア・ラブ』と「黒さ」を増していったホイットニーではあったのですが、それでも彼女をR&Bの女王と呼ぶような風潮は正直あまり見られませんでした。

何故か、という事ですけど、本当に単純な話ですが、それは、彼女が歌い上げる朗々としたバラードが、あまりにも素晴らしすぎたからなんじゃないでしょうか。彼女の多くの人の印象に残ってる代表曲「すべてをあなたに」「グレイテスト・ラブ・オブ・オール」「オールウェイズ・ラブ・ユー」。またグラミーで披露した神がかり的な歌唱の「ワン・モーメント・イン・タイム」、スーパーボウルでの(録音披露だったとの話もありますが)「スター・スパングルド・バーナー」。どれも、ポップだ、R&Bだ、等という次元ではとても測ることの出来ない名唱ばかり。彼女のよく伸びる強くて美しい歌声は、本当にこうしたスケール感のあるコンテンポラリー系のバラードで遺憾なく発揮されました。

例えばアレサ・フランクリンの歌う「エイント・ノー・ウェイ」や、グラディス・ナイトの歌う「恋の苦しみ」等のソウル・バラードの名曲・名唱と比較すると、わかりやすいかもしれません。R&Bの魅力には、言葉では表しにくいんですけどグルーブ感というものがあります。アフロ系の方々だけが持つ、独特なリズム感とでも言えばいいのでしょうか。また、「溜め」であったり「粘り」であったり「厚み」であったり「押し引き」であったり、R&BをR&Bたらしめている数々の魅力があると思うのです。アレサやグラディスの歌には、まさにこういう要素が満ち満ちています。ホイットニーも、既にデビュー作のカシーフ作品等で証明されているように卓越したグルーブ感を持ていましたし、ライブではスタジオ録音とは大胆に歌唱スタイルを変えて、ソウル・アーティストらしいコクのある歌唱をいつも披露していました。またこういう路線で4thには「アンティル・ユー・カム・バック」という名曲も残しています。ただ、彼女の場合そういったソウル的な技巧が邪魔に思えてしまうぐらい、ストレートに歌いあげるバラードが素晴らしすぎた=聴衆が求めていたんじゃないかと思うのです。

ホイットニーのアイドルは、正にクイーン・オブ・ソウルの称号を持つアレサ・フランクリンであり、カバー曲を披露したチャカ・カーン等の、R&B界の歌姫でした。ホイットニーは、きっとアレサやチャカのようなR&B界で認められる存在に、ただなりたかったんじゃないかと思います。思えば彼女は、「恋はてさぐり」のPVの中に憧れのアレサのPVを挿入したり、チャカの「アイム・エブリ・ウーマン」の時は曲中で彼女の名前を連呼したりと、非常に無邪気な一面を持った人でありました。そういう本人の真っ直ぐな憧れや希望とは裏腹に、世間は彼女がR&B界だけの歌姫に留まることを望まなかった。彼女のデビューの際、黒いバーブラ・ストライサンドという表現が既に使われていました。あのアレサとは対極に位置するダイアナ・ロスがソロ・デビューをする際に用いられた表現が同じものだったように、エンターテイメント色の強いブラック系の女性アーティストを表するのによく用いられるのが、黒いバーブラという表現。ゴスペル系のシンガーとして活躍した母シシーもいれば、R&B界よりもポップス界の黒い真珠と謳われた従姉妹ディオンヌ・ワーウィックのようなシンガーもいるホイットニーの血筋。その両方を兼ね備えた最強のシンガーがホイットニーだったはずなのですが、世間が求めたものは彼女がなりたかった存在以上の存在であった。そこに生まれたジレンマが、少しずつ彼女を苦しめて、彼女を違う方向へと追い込んでいった気がするのです。

※追記:デビュー前のライブ映像等を見ると、やはり濃厚なソウル・シンギングを披露しているホイットニー。レコーディングの際、かなり矯正されたふしがありますよね。あまり黒く歌いすぎるな、こういうレコード会社の指示があったのではないでしょうか。そのほうが彼女の美しい歌声が映えるからと…。

絶頂から…

『ボディーガード』という、今からすれば彼女のキャリアの頂点とも言える時期、ホイットニーは当時R&B界で一番人気のあった若手男性シンガーのボビー・ブラウンと結婚をします。公私ともに、本当に幸せの絶頂を迎えたはずのホイットニーでしたが、残念ながらこの後、彼女の人生は大きく傾き始めてしまいます。夫のボビーが元凶と言われていますが、ドラッグにはまり、アルコール依存になり、その夫ボビーからのドメスティック・ヴァイオレンス等、音楽的な話題よりも、常にゴシップ欄を賑わすゴシップ・タレントへと変わっていってしまいました。本当に優等生のイメージだったホイットニーの変貌は、とてもショックでしたね。そして彼女はその代償として、あの天から授かった最上の贈り物と言うべき「声」を失ってしまったのです。アルバムで言えば、98年リリースの『マイ・ラブ・イズ・ユア・ラブ』辺りから顕著になってしまったでしょうか。1曲目の「イッツ・ノット・ライト・バット・イッツ・OK」を初めて聞いた時の衝撃は今でも忘れられません。のどに何かがつっかえているかのような苦しそうな歌声…これがあのホイットニー???吃驚して声も出ませんでした。このアルバム、聴きこむ内に声の衝撃にも慣れ、良曲が多い事もあって好きになってはいったのですが、それでもたまにベスト盤等で、これ以前の作品(特に1、2作目の曲)から急にこのアルバムの曲が出てくると、今でもドキっとしてしまいます。

このアルバム以降、彼女の作品から、かつての美しく伸びやかな歌声が聞けることは叶いませんでした。2009年、久しぶりにリリースされてチャート上ではポップとR&Bで1位を獲得し、復活作と言われた『アイ・ルック・トゥ・ユー』でも、残念ながらあの輝かしい歌声は戻っていませんでした。それでも内容としては非常に充実した作品ではあったので、今後の活動を楽しみにしていたここ最近。今年の夏にはかつてアレサがサントラを担当したシュープリームス的な女性R&Bトリオを主人公にした『スパークル』のリメイク作にて久しぶりに映画に出演、既に「ため息つかせて」の続編への出演もアナウンスされ始めた段階での…まさかの悲劇でした。

2月11日、翌日開催のグラミー賞のプレ・パーティーに出席するためにビバリーヒルズにあるビバリー・ヒルトン・ホテルに滞在していたホイットニーでしたが、浴室の中に倒れているところを発見され、そのまま帰らぬ人となってしまいました。享年48才、そのあまりにも早すぎる死に、世界中が衝撃を受けました。本当にこんな形で彼女とお別れをすることになるなんて、誰も思っていなかったことでしょう。18日、ホイットニーの故郷であるニュージャージー州のニューアーク教会で葬儀が行われ、彼女は03年に亡くなった父親の隣に埋葬され、永遠の眠りについたのです。ただそれが安らかなものであることを、今は祈りたいと思います。

彼女の残したもの

ホイットニー・ヒューストンという稀代のシンガー。彼女は逝ってしまったけれど、彼女はもの凄い贈り物と功績を、私たちに残してくれています。

彼女の歌った歌は、永遠に私たちを楽しませ、酔わせ、励ましてくれることでしょう。これから生まれてくる次の世代にも、その次の世代にも、きっと彼女の素晴らしい歌声は伝わっていくはずです。またそれを伝えていくのが、同時代に生きて彼女の歌に喜びをもらった私たちが出来る事だと思います。
そして今R&B界で活躍する中堅から若手の女性シンガーで、ホイットニーの影響を受けていない歌手は一人もいないのではないでしょうか。彼女の歌を聴いて、彼女のように歌いたいと思って歌手を志した人はいったいどれだけいたことか。その中からプロの歌手となった者が生まれ、今のR&Bの世界を間違いなく支え、構築しているのです。今のポップスを凌駕するR&Bの繁栄は、ホイットニーが作ったと言っても過言ではないかもしれません。

あらためて思うのですけど、R&Bの世界で決して高い評価を得ている印象がないと書いてきましたが、実際これはこの日本にいて、様々な日本のメディアを通して発信されてきたことを受けての私の長年の印象なんです。実際にあちらでもAMAでのブーイングの件等そういう風潮があったのも事実かもしれませんが、ただ現実に若手R&Bシンガーのほとんどが心からのホイットニーへの憧憬を口にするのを聴いてきて、いわゆるブラック・コミュニティの中でも、彼女は確実に評価されていたんだなというのを近年感じます。それはやはり、ジャンル等というつまらない枠組みを軽く飛び越えてしまう彼女の歌声に純粋に心を揺さぶられたから、皆が彼女を愛してやまなかったからだと思うのです。良いものは良い、ただそれだけ。そこに理由なんて、必要ないですよね?



…という事で、何だかダラダラと書き上げてしまいました。まとまったんだか言いたいことを伝えられたんだか、後で読み返してアチャーっとなりそうですが、自分の気持ちに整理をつけるために書かせてもらいました。事実と違っているところや、思い込みが偏り過ぎてたりしてるところもあるかもしれません。平に平に、ご容赦を。

最後に、本当に有難うホイットニー。

愛しています。



どれも素晴らしいです。「グレイテスト・ラブ・オブ・オール」は、本当にPVも傑作。
グラミーの「ワン・モーメント・イン・タイム」、神が降りてます。
ナタリー・コールとの凄まじき共演。この二人がソウル歌手じゃない?馬鹿な!
「オールウェイズ・ラブ・ユー」の本当の意味がわかって、結婚式で使う人が減りそうですね。



ホイットニー盤のエッセンシャルが出てる!…と喜んだのもつかの間、2000年にリリースされた『グレイテスト・ヒッツ』の名前を変えただけの商品でした。人気のあるベスト盤ですが、リミックスというものにあまり関心がない自分としては、普通にシングル・バージョンを収録した大容量のベスト盤をいつか出してほしいなぁと思います。いつかっていうか…追悼盤としてすぐにもリリースされそうですね。

で、ホイットニーのアルバムが日本で紙ジャケ化された時に書いたレビューですが、せっかくなので貼っておきます。こっちのほうが、すっきり言いたい事がまとまってる気がする…。
「そよ風の贈りもの」→http://suzuenta-etc.seesaa.net/article/117868774.html
「アイム・ユア・ベイビー・トゥナイト」→http://suzuenta-etc.seesaa.net/article/117871914.html
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2011年10月29日

ハイ・イナジー『ターニン・オン』(77年)

High Inergy:Turnin' On(77年)

そんな訳で、流れに乗ってハイ・イナジーでございます。

何でも初めの頃に見知ったものというのはやはり強烈な印象となって残っていたりする訳ですけど、このハイ・イナジーもそんなグループのひとつ。
前回のジェニファー・ホリデイの時に書かせてもらいましたけど、モータウン25周年のステージで見た彼女たちの歌と姿は非常に好印象で、いつかどこかで…なんて思っているうちに早20数年。どーしてこんなにも冷遇というか手つかずのままなのか、ちょっとばっかし不思議なんですよねぇ。

彼女たちの情報というのはネットで検索してみても海外を含めほとんど出てこなかったり、国内のR&B本でもほとんど紹介されていないのですが、わかる範囲(Wikipediaの引用になります)で書くと、カリフォルニア州のパサディナで結成された、リード・ヴォーカルを務めるヴァネッサとバーバラのミッチェル姉妹にリンダ・ハワード、ミシェル・マーティンを加えた4人組(彼女たちを見出したのはベリー・ゴーディの姉グウェン・ゴーディーだそうな)。セカンド・アルバムリリース後にヴァネッサが脱退してゴスペルに転向、以降はバーバラを主にリードに据えたトリオとして活動したようです。
77年から83年まで、毎年アルバムをリリースしていて合計8枚。シングルは9曲がR&Bチャート、内3曲がポップ・チャート入りしていて、一番のヒットはデビュー曲である「恋をとめないで/You Can Turn Me Off(In The Middle Of Turning Me On)」のR&B2位/ポップ12位。他はほとんどが50位前後の小ヒットにしかなっていませんので、このあたりがリイシューに声がかからない理由なのかなと。まぁそれでも8枚ものアルバムをメジャーのモータウン(ゴーディ)からリリースしたんですから凄いちゃあ凄いんですよね。今だったら2〜3枚目ぐらいで即契約打ち切りでしょうし、まだまだそういう事が許された良い時代だったんだなーと思います。

という事で、本当は私が彼女たちを知るきっかけになった曲「ヒーズ・ア・プリテンダー」の入った8th・アルバム『グルーブ・パトロール』をご紹介したいところだったんですが、そううまいこと出会いもなく、今回は彼女たちの77年のデビュー盤であり、前述の最大ヒット・シングル「恋をとめないで」を収録した『ターニン・オン』を取り上げたいと思います。

本当に情報がないのでこの当時の彼女たちの年齢がわからないんですけど、ジャケット写真を見る限りでは20才前後といった感じでしょうか。
若さ溢れるヴォーカル&コーラス・ワーク(レコードだから余計に音が割れるわ歪むわ)で勢いよく弾ける1曲目の「ラブ・イズ・オール・ユー・ニード」から一転、ヒットした「恋をとめないで」ではスローからミディアム・テンポに展開していくグルーヴィーな楽曲を、メロウな雰囲気を漂わせて披露。
主にリードを務めるヴァネッサは清涼感のあるクリアな歌声の持ち主なんですけど、そのクリア感を保ったままどんどんヴォルテージを上げていけるタイプの歌い手さんで、「サム・カインダ・マジック」の後半でどんどん舞い上がっていく歌声等は実に爽快。「レット・ミー・ゲット・クロース・トゥ・ユー」から始まるB面真ん中3曲でのスロウ〜ミディアム・パートも美しい歌声を存分に生かして非常に聴き心地の良い好曲に仕上げています。
バーバラをはじめリンダ、ミシェルも相応の実力を有しているようで、「エイント・ノー・ラブ・リフト」や「ハイ・スクール」での溌剌としたコーラス・ワークは高揚感たっぷり。
若いながらも持てる実力によって後押しされたような成熟感が全編にあり、そのアンバランスさがまた魅力的な作品だと思いました。

このデビュー盤ぐらいは、CD化されても全然おかしくないと思うんですけどね。
だいたいベスト盤の1枚も出てないってのが本当に不思議。
(何かレーベル側と、個人的な確執とかあったりするのかなぁ…。)

ちなみに「ヒーズ・ア・プリテンダー」ですが、ジェニファー・バージョンと比べるとやはりこちらのほうがよりグルーヴィーな好曲に仕上がっていると思います。楽曲との相性というかフィット感が格段にこちらのほうが自然なんですよね。やはり曲もその人の身の丈にあってるかどうかというのは大事だなと…。

チャートデータ
アルバム
Pop 28位/R&B 6位
シングル
「You Can't Turn Me Off」:Pop 12位/R&B 2位
「Love Is All You Need」:Pop 89位/R&B 23位



high inergy.jpg
こちらが20数年前にぐっと来たモータウン25周年のステージの模様です。

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2011年10月24日

ジェニファー・ホリデイ『セイ・ユー・ラブ・ミー』(85年)

Jennifer Holliday:Say You Love Me(85年)

レコードには手を出すまいと言う誓いが、破れてしまいそうです…。

仰々しく強調文字にしてみました(smile)。
まぁとにかくうちはCDやらDVDやらが溢れかえっているので、LPなんて更に場所をとるものはもってのほかなんですけど、実際CD化されていない作品って案外に多いですし、正直中古屋さんに行っても欲しいCDなんて滅多な事では出会わなくなってきているのが実情。その点LPの棚を覗いてみると、聴きたかった作品や知らないけど聞いてみたい作品が安価な値段でゴロゴロしてたりして、もうカモ〜ン状態な訳です。一生懸命そんな気持ちを抑えてきた私ですが、先日どうしても聴きたいけどLPでしか出ていない作品が出来てしまい、あちこち捜し歩いているうちにどんどんとLPの魔に犯されてしまってセールの勢いで5枚購入。家にあるほっておいたデジタル形式に変換出来る機能がついたアナログ・プレイヤーを使いこなしてみると、意外に簡単にiTune等に落とし込める事を発見したりして、もう今じゃすっかりLPコーナーばかりを漁ってる私…みたいな。

いかんのですけどね。

そんな訳で、今後はLPからのご紹介なんてのもさらに増えていくかもしれません。聞いてないCDだって山のようにあるのに…ははは(汗)。
ま、そんな前置きをしておいて、本日ご紹介するのは先日お買い上げしたその最初の5枚の中の1枚。ジェニファー・ホリデイさんが85年にリリースしたセカンド・アルバム『セイ・ユー・ラブ・ミー』でございます。

彼女のディスコグラフィーをきちんと見たことがなかったというのもあるのですが、このアルバムの存在を全く知らなくてLP棚で初めて邂逅いたしました。彼女のアルバムでは唯一これがCD化されてない作品のようです。

それでまたこれが凄くいいアルバムで。
個人的なトピックとしては2つ。まずはアルバム巻頭を飾る「ユーアー・ザ・ワン」という曲を作/プロデュースしているのがあのマイケル・ジャクソンさん。ミュージカルのオープニングを思わせるような爽やかでメルヘンチックな1曲で、小鳥がさえずっているようなヴォーカルを聞かせるジェニファーさんがまた素晴らしくキュート。歌に漂う清らかさというかイノセントな感じが実にマイケルっぽく、しかもジェニファーさんにベスト・マッチングしてるんです。楽曲の魅力、パフォーマーの魅力が相乗効果を発揮した素晴らしい作品だと思います。
もう1曲は「ヒーズ・ア・プリテンダー」という曲なんですけど、これ、モータウンのガール・グループ、ハイ・イナジーのカバー曲なんです。83年にマイケル・ジャクソンがあの「ビリー・ジーン」の伝説的なパフォーマンスを行ったモータウンの25周年記念コンサートに、期待の若手的な立ち位置で出てきたのがデ・バージとハイ・イナジーの2組。その時彼女たちがパフォーマンスしたのがこの「ヒーズ・ア・プリテンダー」で、かれこれ20年ぐらい前に見た時からこの曲が凄く気になっていたんですけど、何しろハイ・イナジー自体が全くのノーCD化で今まで来ているのでその曲にも出会えず、巡り巡ってこのジェニファーのアルバムの中で邂逅してしまった、という次第です。正直聞く人が聞けばなんてことないポップ曲なんでしょうけど、こういうこじんまりとかっちり出来上がった曲って、自分の好みなんですよね。大きな身体をむりやりビートに詰め込んだようなジェニファーさんの歌いっぷりにもはまっちゃうんです。

他にもブルース・ロバーツ&アンディ・ゴールドマークコンビによる(いかにも彼らが作りそうな)ポップ・ロック調の「アイ・レスト・マイ・ケース」や、迫力いっぱいのビート・ライクなアップ・ナンバー「ホワット・カインド・オブ・ラブ・イズ・ディス?」、重量感のあるミディアム「ハード・タイム・フォー・ラバーズ」、ナタリー・コール等も歌っている美しくもスケール感豊かなバラード「セイ・ユー・ラブ・ミー」、デューク・エリントンのクラシックをゴージャスに歌い上げる「カム・サンデー」等、聴きどころがいっぱいです。
何でしょう、声の圧力にツボ押しされて、聴き終わるとすっきりするというか心地よい余韻に包まれる感じなんですよね。

こういう作品を埋もれさせておくのは、もったいないですね。
多くの方が聞けるように、やはりCDでのリイシュー希望です。

チャートデータ
アルバム
Pop 110位/R&B 34位
シングル
「Hard Time For Lovers」:Pop 69位/R&B 17位
「No Frills Love」:Pop 87位/R&B 29位



jennifer sylm.jpg
ベスト盤には本作から3曲収録されています。
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2011年10月23日

マネキン『マネキン』(89年)

Maniquin:Maniquin(89年)

マネキン知ってる!…という方は間違いなくその筋の方、と言う事になると思いますけど、R&B界きっての美形男性シンガーとして知られ、(最近破局しちゃいましたが)シャンテ・ムーアとの熱々おしどり夫婦デュオぶりが羨望の的でもあったケニー・ラティモアが在籍したR&Bグループでございます。

ヒット曲が出なかったにも関わらずほとんどの80年代のR&B本等に紹介記事が掲載されているのには訳があって、前述のケニーさんが在籍していたというトピックの他にもうひとつ、プロデュースをギャップ・バンドのチャーリー&ロニー・ウィルソン兄弟、キャメオのチャーリー・シングルトン、スターポイントのアーネスト・フィリップス&マービン・イニス、P-ファンク軍団のバーニー・ウォレルというファンク界を代表する錚々たるメンバーが請け負っていたからなんですね。

こうなればどんだけ豪快なファンク・アルバムに仕上がってるの!?と思うのが普通でしょうけど、何せリードがスムース・ヴォーカルが売りのケニーさんなものですからそんな訳にもいかなくて、もちろん「シャイン・ア・ライト」や「ホワイ・ドュ・ユー・ライ」等のファンクのりを持つ曲はケニーらしい消化ぶりで聞かせてくれてますけど、その他は基本オシャレ系ブラコンに出来上がってしまっているというのが、実は失敗の要因だったのかなとも思います。まぁそういうファンクへの期待値みたいなものを取り払えばぜんぜん楽しめるアルバムで、89年と言う時代を反映してか、1曲目のウィルソン兄弟による「アイ・ワナ・ライド」はどこかラフェイス(LA&ベビーフェイス)制作を思わせるしなやかR&B曲。チャーリー・シングルトンが出がけた「ナウ・アンド・ゼン」はデビッド・フォスタープロがと思わせるようなAORナンバーだし、マービン・イニスによる「ファニー・フィーリング」はほんのりと哀愁漂うミディアムで本盤の個人的なハイライト。要は、みなさんケニー・ラティモアという歌手の個性をきちんと見極めて楽曲提供している訳で、優秀なプロデューサーさん達だという事ですよね(smile)。

ファンクという意味ではもう一人のヴォーカリスト、デビッド・ニュースがリードをとるナンバーが期待に応えてる感じで、バーニーの「メン・ウィル・ビー・ドッグ」やC・シングルトンの「テイク・ケア」、「ホット・ン・セクシー・リル・ダイナマイト」等がそっち系の猥雑さを表出させた仕上がりになっています。

実は本作、R&B本で見かけてからずっと気にかけていたのですが出会わずで、つい先日LPレコードが300円ぐらいで売られてるのを発見。LPは買っちゃダメ(場所とるでしょ…)という禁を犯して買ってしまった一品なのです。何となく80年代だという事でCDがリリースされていないイメージがあったのですが、クレジットをよく見てみるとリリースが89年。おやおや、これだったらCD出てるっしょ?と思って検索してみると外国のアマゾンのほうで普通に1,000円ちょっとのお気軽価格で手に入れられる状況。なーんだ、と言う事でそちらも早速お取り寄せした次第です。もちろん、さらに怒られた事は言うまでもありませんけど…(smile)。

残念ながら前述のように日本の市場ではあまり見かけませんが、外国のほうならけっこう手軽に手に入る作品のようですので、興味のある方はお取り寄せいただいても損のない作品だと思います。
ケニーさんは今離婚後初のアルバムを準備中らしいですね、楽しみです。

チャートデータ
チャート入りなし



maniquin.jpg
今となっては…な濃厚デュオ作。やらしーです。


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2011年09月17日

ボニー・ポインター『ボニー・ポインター』(78年/79年)

Bonnie Pointer:Bonnie Pointer(78年/79年)

お陰様で無事リリースされましたポインター・シスターズ『ブレイクアウト』のデラックス・エディション。
ねぇ、それはいつかは…とは思ってましたけど、2枚組で83年版と84年版をフル収録した上に、シングル・バージョンやリミックス等をてんこ盛り加えていただいたほぼ最良と言ってもいい仕様。ポインタースを最初に聞いたのがこのアルバムでしたし、それこそ耳にタコが出来てそのままタコになっちゃうんじゃないの?ぐらい聴きこんだ大好きなアルバム。あれから20数年経ちますけどまったく飽きが来ない上に、またこんな素敵な上乗せしていただいて、本当にBig Break Recoed様(リイシュー会社)には感謝なのです。お値段もお手頃な上にボーナス・トラックもたっぷりでブックレットも充実…リイシュー会社の鑑ですね。

ここまできたならBBRでポインタースの全作品をカタログ入りさせてもらいたいものですが、まぁそれでも他の会社さんのを合わせればほぼ全作品リリースされているので、本体のリイシューはこのあたりで一息という感じでしょうか。おのずと次はメンバーのソロ作品へ…と願うのは、よくばりにしても当然の思い。
そこで何としてもこぎ着けて欲しいのが、ボニー・ポインターのソロ作品な訳です。

ポインター・シスターズの3女であるボニー。

聴けばポインタースをショービジネスの世界に誘ったのがボニーなんですね。ボニーが妹のジューンを誘ってデュオとして歌い始め、ここにアニタ、ルースの順に加わってポインター・シスターズが結成されることになった。そしてカルテットとして成功を収めたのち、ボニーは(やはり言いだしっぺのプライドもあるし、意見調整をしなければならないグループ活動(しかも姉妹同士)に嫌気が差したのか?)ソロへと転向。以降現在に至るまでボニーはソロとして活動を続けているという事になるようです。あ、それでもジューンが90年代にルース、アニタと仲たがいした後は、確か二人で活動していた時期もありましたよね?ジューンが亡くなった今でも姉二人と関わる気配はないようですから、両者の亀裂は相当に深いんだなぁと想像されます。

で、ソロになったボニーはモータウンと契約。78年と79年に立て続けで2枚のアルバムをリリースしていますが、本日はリイシューのお願いも兼ねて、この2枚の作品をご紹介させていただこうかと思います(音源はその昔お友達にいただきました。海より深く感謝です)。
ややこしい事にこの2枚、どちらもアルバム用のタイトルというのがなくて、どちらも『ボニー・ポインター』としてリリース。ジャケットの色で、デビュー作を赤盤、セカンドを紫盤と呼んで区別されています。

まずは赤盤から。

ポップで11位まで上ったディスコ・クラシック「ヘブン・マスト・ハブ・セント・ユー」と、R&Bでトップ10入りした「フリー・ミー・フロム・マイ・フリーダム」の2曲をフューチャーしていて、このアルバムがボニーの代表作と言う事になるんだと思います。グループの香りを残したオールド・ポップス路線の「ホエン・アイム・ゴーン」に始まり、R&Bなドライブ感のなかにカントリー・テイストを加えた(このあたりポインター家らしいですよね)前述の「フリー・ミー・フロム・マイ・フリーダム」、グルーヴィーな「アー・シュート」やソフト・グルーヴィー(smile)な「アイ・ワナ・メイク・イット」、しっとりと歌いこむバラードの「モア・アンド・モア」、ビリー・ホリデイ風のヴォーカルがユニークな「マイ・エブリシング」等なかなかに多彩な内容。「ヘブン・マスト・ハブ・セント・ユー」もシングルではもっと流麗なディスコ・ソングなんですが、アルバム・バージョンはどちらかと言えばノスタルジックなポップ・アレンジで、後半に飛び出すサッチモ風スキャットも長めに堪能出来ます。曲としてはどちらも魅力的で、甲乙つけ難いですね。
グループ時代のイメージを継承しつつもあれこれ新しい事にもチャレンジした好アルバムだと思います。

続いて紫盤

こちらは全6曲とコンパクトな作品で、しかもオリジナル曲1曲に他はモータウンのクラシック・ソングで構成。「ヘブン・マスト・ハブ・セント・ユー」にそっくりなイントロから「アイ・キャント・ヘルプ・マイ・セルフ」になだれ込んだ後は、「ジミー・マック」「恋のキラキラ星」「カム・シー・アバウト・ミー」「ノーウェア・トゥ・ラン」とお馴染みの楽曲でウキウキ…なはずなんですが、実はこれが期待ほどでもないというか。意識してなのかちょっとボニーの歌唱が抑え気味で、ドライブ感が重要なこれらの曲の魅力を半減させてしまった感じなんですね。ラストの「ノーウェア〜」はたまらずシャウトしちゃってて良いんですけど。唯一のオリジナル曲「ディープ・インサイド・マイ・ソウル」は明らかにこのアルバムでは異質のヴォーカル作品で、これも流れの中で浮いてしまってたりして。何だかどういうコンセプトでアルバムを作ろうとしたのか読めないというか、中途半端な作りになってしまったのが少々残念な作品です。

そんな訳ですが2枚で合計14曲。シングル・バージョンやリミックス等を加えても1枚のCDで収まってしまう尺ですので、四の五の言ってますが是非とも2in1でリイシューして欲しいものでございます。

記録上では丁度ボニーが「ヘブン・マスト・ハブ・セント・ユー」をヒットさせている頃、3姉妹もプラネットに移って「ファイアー」をヒットさせているんですよね。姉妹でこれからしのぎを削るか?という展望だったんでしょうけど、3姉妹の攻勢にボニーがついていけなかったのはやはり残念でした。
ボニー、何と今年に入ってニュー・アルバム『ライク・ア・ピカソ』をドロップしたばかり。ダウンロードでは入手出来るみたいなので、是非そのうち聞いてみたいと思いますです。

そんな訳で、とりあえずボニーのリイシューをよろしく〜!!
(よければ84年のエピック盤等も〜。)

チャートデータ
アルバム
Red   R&B 34位
Purple Pop 63位
シングル
「Free Me from My Freedom」:Pop 58位/R&B 10位
「Heaven Must Have Sent You」:Pop 11位/R&B 52位
「I Can't Help Myself」:Pop 40位/R&B 42位



bonnie 1.jpgbonnie pointer.jpg
このジャケ、味があると言うか…。









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2011年09月06日

ホイットニー・ヒューストンがお好きな方へ。

何だか、少しずつ秋めいてきましたね。

なんて、季節のご挨拶をしてみたりして…こんばんわです。

(言い訳)最近なんやかんやとバタバタ続きで更新も怠り気味になり、覗いていただいてる方には大変申し訳ございませんです。細々とですが出来る時にと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたしますです。

自分が更新出来ないから、という訳ではありませんが(smile)、ひとつ音楽系のブログをご紹介させていただきます。

ホイットニー・ヒューストンが大好きなノンケ女医さんのブログです。

http://blog.livedoor.jp/nonke_joy/

まだ出来立てほやほやのブログですが、ホイットニーやR&Bの曲、レア物シングル等の紹介を中心に、日常ネタ等も織り交ぜた楽しいブログです。今後どんどんディープに展開していきそうな予感。

皆様も遊びにいってみて下さいね。

自分も、更新がんばろっと。




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2011年07月18日

ホイットニー・ヒューストン『アイ・ルック・トゥ・ユー』(09年)

Whitney Houston:I Look To You(09年)

巷の方はすっかりiphoneご使用かと思いますけど、何かと時代の波に乗れない私は1年ほど前に買い替えたipodを変わらず愛用中。みるみる容量が少なくなっているのが気にかかる昨今ですが、インポートしてはくるくるパタパタっと今日は誰聴いて行こう?なんて音楽ライフを送っております。

くるくるっとめくっていくジャケット写真を見てるだけで楽しかったりしますけど、度々回す手を止めてはプレイしてしまうのがホイットニー・ヒューストンの2年前にリリースされたアルバム『アイ・ルック・トゥ・ユー』。久しぶりの全米No.1に輝いたり13年ぶりの来日公演が実現したりと明るい話題の多かった本作ですが、作品的の出来には複雑な想いを抱かずにはいられなかったので、当時はブログで取り上げることもなくスルーした感じでした。それでも何だか聴きたくなってしまう魅力のあるアルバムだったりするので、ここは思い立ったが吉日ということで、がーっと書いちゃっておこうと思います。

クライブ・デイヴィスが陣頭指揮をとり、旬なクリエイター陣を総動員して制作された再起を賭ける一作な訳ですけど…先に悪いことから書いちゃおうかな。
ホイットニーについつい期待してしまうのはやはりあの素晴らしい歌声で歌われる壮大なバラードだったりする訳ですが、本作でそれにあたるのがタイトル曲にもなっているR・ケリー作の「アイ・ルック・トゥ・ユー」とダイアン・ウォーレンが書いた「アイ・ドント・ノウ・マイ・オウン・ストレンジ」の2曲。それぞれに作者入魂の1曲という風格のある作品なのですが、こういう朗々と歌い上げるような楽曲だと、どうしても声の荒れというか本調子でない部分というのが如実に露呈してしまうんですね。「アイ・ルック〜」のほうはまだしも、特に「アイ・ドント〜」のほうは他に使えるテイクのはなかったの?ってくらい途中息もたえだえになってしまうし。「そよ風の贈り物」とか「グレイテスト・ラブ・オブ・オール」「アイ・ウィル・オールウェイズ・ラブ・ユー」なんて輝かしい時代で育ってきているだけに、正直聞いているのが辛い…と言うのが本音です。先日アルコールとドラッグ更生のためのリハビリ施設に自ら入所、声を取り戻すまでは歌わない、なんてニュースが流れてきましたが、ここはご本人の決意を信じてそんな日が来るのを辛抱強く待ちたいと思います。待つのにはもう、慣れっこですしね。

しかしまぁバラード以外に目を向けると、これがなかなかに良作揃いだったりする本作。オープニングを飾っているのはスウィズビーツ&アリシア・キーズおしどり夫妻の手による「ミリオン・ダラー・ビル」。ホイットニーの最近の歌声を研究して作られたような軽やかな歌い口のアップ・ナンバーで、流れるようなメロディーと爽やかな空気感を持った好曲に仕上がっています(ホイットニーに無理させないという姿勢が◎)。そしてミディアム・ナンバーに聴きどころの多い本作なんですが、中でもエイコンがいい仕事をしてくれていて、自身もフューチャリングとして登場してくる「ライク・アイ・ネヴァー・フェルト」と「アイ・ガット・ユー」は、エイコンが作り出す移民的な哀愁メロディー/アレンジとホイットニーの相性が凄ぶる良くてお薦め。デンジャー・プロデュースの「ナッシン・バット・ラブ」、スターゲイト制作の「コール・ユー・トゥナイト」、ラストを締めるR・ケリーの「サルト」等も聴くほどに味わいが増してくる佳曲で、ホイットニーのコクのある歌声をそれぞれに楽むことが出来ます。「サルト」には多少の気のせいを含めてデビー・ギブソンの「フーリッシュ・ビート」なメロディーが出てくるので、80'sな方は耳をそばだてて下さいね(smile)。
アルバムの中盤にレオン・ラッセルの「ア・ソング・フォー・ユー」がハウスなアレンジで収められていて、正直前作の「恋するデビー(You Light Up My Life)」的なつまらない選曲だなぁと当初は思っていたんですが、よくよく理由を辿ればゲイのアイコンとして人気のあるホイットニーが、ゲイ・アンセムである(そうなんですって)「ア・ソング・フォー・ユー」を、ゲイ・カルチャーが生みだしたハウスで歌い上げるという企画物(?)なんだそうで、そういったニーズに応える楽曲であるならばそれなりの意義はあるのかなと思いますです。

気鋭のプロデューサー陣の力に追うところは大きいかもしれませんが、そういう新たな才能とも十二分に呼応してこういう魅力的な作品を生み出せるんですから、本当にホイットニー、持てる力は百万馬力なんですよね。後はしっかりと自分自身のケアをして、少しでもあの感動に震わさせられるような「声」を取り戻してもらえればと思います。
まだまだ20年以上歌える年齢ですから、リハビリを終えての第一声に、期待をしたいです。
待ってます、ホイットニー(LOVE)!

チャートデータ
アルバム
Pop 1位/R&B 1位
シングル
「I Look To You」:R&B 19位
「Million Dollar Bill」:R&B 16位
「Worth It」:R&B 61位




1円は…。
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2011年07月12日

サラ・ダッシュ『クロース・イナフ』(81年)

Sarah Dash:Close Enough(81年)

長いこと未CD化状態のまま放置されていた『プレシャス・クッキン』と『フェニックス』が昨年、一昨年に相次いでCD化され、ようやく一通り出揃った感のあるラベルのリイシュー。ソロ作品のほうに目を向けると、パティは何順目かという感じでBBRからエピック時代の作品がカタログ入りしはじめ、ノーナ・ヘンドリクスも今年に入って77年のソロ・デビュー作、今月には85年の4作目『ザ・ヒート』がリリースと、いい感じでリイシューが進んでおります。

そんな中にあって、すっかり出遅れちゃってるのがサラ・ダッシュ。パティやノーナに比較するとどうしたって地味なのは仕方ないんですけど、そうであってもラベル鬼子母神の一角を担う実力者ですし、ソロ作品も4枚ほどリリースしているので、是非ともリイシューの大波が来ているこの機会にCD化をお願いしたいものでございます。

自分も持っているのは88年にリリースされた『ユーアー・オール・アイ・ニード』だけ。タイトル曲はご存じマービン・ゲイ&タミー・テレルの名曲カバーで、盟友パティを迎えての好デュエットになっていました。サラって猪突猛進型というか、暴走し始めると手が付けられない感がヴォーカルにも表出してくるんですけど、一転ソフト・タッチの表現などもけっこう上手くって、この盤でもAOR的な楽曲で瑞々しい魅力をみせていたのが好印象として残っております。

で本日ですが、リイシューお待ちしてます!という願いを込めて未だCD化が叶わない作品を1枚ご紹介させていただこうかと思います。81年にCBSからリリースされたソロ第2作目の『クロース・イナフ』。以前友人に音源だけをいただいて、それ以来密かにお気に入りで聞き続けてきた作品でございます。

「クロース・イナフ」と聞いて、おやっと思われた貴方は正解!タイトル曲はディオンヌ・ワーウィックが87年の名盤『ラブ・パワー』の中で歌っていた好バラードと同一曲。実はディオンヌ絡みでいくともう1曲、アリスタからの第二弾『愛の面影』に収録されていた「サンバディズ・エンジェル」も歌われていて(どちらも作者の一人はデビッド・ラズリー)、ディオンヌ・ファンでもあるこちらとしてはそれだけでもうついついにんまりな感じ。ディオンヌの歌唱と単純に比べてしまったら酷ですけど、それぞれにサラの優しい魅力が味わえる好曲になっています。そういう共通点があるからか、作品全体としてはどこかアリスタ的というか、ソングオリエンテッドなAOR作品という趣が強くて、オープニングの「オンリー・ユー・キャン・フィール・ザ・ニード」や「リーヴィング・アゲイン」「シティ・ボーイ」等はメリサ・マンチェスターが歌いそうなミドル・テンポのポップスで、これまたサラのソフト・ヴォーカルとベスト・マッチ。ベッド・ミドラーが『フォー・ザ・ボーイズ』で歌っていたジョニー・マーサーの「PS・アイ・ラブ・ユー」をドリーミーな表現で歌っていたり、ラストをしめるのがブレンダ・ラッセル作の入魂バラード「ゴッド・ブレス・ユー」だったりと、歌姫ファンにはいちいち見逃せない要素の詰まった快作に仕上がっています。

こんな楽しめる作品を未CD化のまま放っておくのはやはりもったいないですよ。
78年リリースで唯一チャート入りしたシングル「シナー・マン」収録のファースト、80年リリースのセカンド『ウー・ラ・ラ』等と併せ、是非ともFunkytown Groove様かBig Break Record様あたりに掘り起こしてもらいたいと思いますです。

どうか、お願いしまっす!

チャートデータ
チャート入りなし


残念ながらアルバムの曲が1曲もYouTubeになくて。
で、前述の「シナー・マン」と88年の4thから1曲ずつ。

sarah close.jpg
1円って…内容の素晴らしさと比較になりません。


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2011年07月03日

ダイアナ・ロス&ザ・シュープリームス『トーク・オブ・ザ・タウン』(68年)

Diana Ross And The Supremes:Live At London's Talk Of The Town(68年)

今から25年前の1986年、結成25周年の記念盤として未発表音源を多く含んだ『Diana Ross And The Supremes 25th Anniversary』という3枚組のLPセットが発売になりました。タワー・レコードで見かけて即買いしたんですけど、今でも手に取るとちょっとずっしりくる重みがゴージャス感を漂わせてくる思い出の品でございます。

白黒ですけど大判の12ページのブックレットがついており、ヒストリーや歌詞、シングルのチャート成績等が載ってるのですが、アルバムのディスコグラフィーがジャケット写真・曲目付で掲載されていて、これが情報の少ない当時としては非常に有難いものでございました。バーブラの最初のグレイテスト・ヒッツの裏表紙(それまでリリースしたアルバムをこちらはカラーで掲載)と一緒で、眺め返してはこれも聞きたいあれも聞きたいと溜息ついていましたっけね。
63年リリースの『ミート・ザ・シュープリームス』から70年の解散公演のライブ盤『キャプチャード・ライブ・オン・ステージ!』まで、ベスト盤を除くとオリジナル・アルバム(ライブ作含んで)は23枚。実質64年から69年の6年の中ですから、1年平均4枚程度のアルバムをリリースしてたわけですよね。もうシングルなみのリリース・ローテーション。「工場」とも呼ばれるモータウンですけど、殺人的スケジュールをダイアナたちがこなしていたのは間違いなさそうです。

バーブラと違ってダイアナとシュープリームスはLPからCD時代に移り始める頃に聞き始めたので、アルバム等も2in1等でCD化されていったのを集めて行った感じ。それでもシュープリームスは何枚か出会いが悪くて買いそびれていたものがあって、そのうちの1枚に先日邂逅、それが本日取り上げている68年リリースの『トーク・オブ・ザ・タウン』です。フローレンスが抜けてシンディが加わり、名前をダイアナ・ロス&ザ・シュープリームスに変更した後のロンドン公演の模様を収録したライブ盤になります。

「With A Song In My Heart/Stranger In Paradise/Wonderful Wonderful/Without A Song」というポピュラー・ヒットのメドレーで幕を開けた後は、畳みかけるようなオリジナル・ソング・メドレーにビートルズ・ナンバー、ジャズ/スタンダード、ミュージカル・ナンバーとダイアナのヴァーサイタルな魅力が楽しめるラインナップで押しまくる構成。どんな歌を歌っても本当にダイアナはうまいですよね。控え目ではあるにせよメアリーとシンディーのコーラスもしっかりダイアナの華を盛り立てていて、「The Lady Is A Tramp/Let's Get Away From It All」等はグループとしての魅力がよく出た一幕。同時期のライブ映像等で見ると3人の掛け合いやステージングは実にエンターテイメントしていて楽しそうですし、本盤を聞いていてもその雰囲気はしっかりと伝わってきます。トップ・グループの勢いに溢れたステージを十二分に堪能する事が出来る1枚としてお薦めでございます。ライブの歌唱ではけっこうアクの強い面も見せるダイアナですが、曲間の語りなどはとにかく可愛らしいのが印象的。まだこの時点で24才ですもの、そりゃぁ可愛らしいか。

改めてディスコグラフィーを見直すと、買い逃してるのが1枚に、未CD化が2枚。まぁ気長に出会いとリイシューを待ちたいと思います。

チャートデータ
アルバム
R&B:22位


見るとさらに楽しいライブ!




posted by Suzu at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | R&B系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月26日

ララ『ララ』(87年)

LaLa:LaLa(87年)

もう年号で言えば2年前になるんですけど、ようやくリイシューされたララのデビュー・アルバム『ララ』(原邦題:『ラブ・アタック』)

長年ウォンツ・リストの上位に位置しながらも結局中古ではお目にかかることのなかった本作。最近のリイシューの波に乗って「80'sアリスタ・ブラコン・コレクション」の1枚にピックアップされたのは嬉しい限りでございました。(ただこれの原動力になったのがマイケルが亡くなったことでのアリスタのジャーメイン作品発売による余波と考えるとちょっと複雑でしたけど…。)

グレン・ジョーンズやホイットニー・ヒューストンetcへの楽曲提供&カシーフとのグッド・コンビネーションでもその名をシーンに残すニューヨーク出身の才媛の満を持してのデビュー盤となる本作。
フルフォースと組んだズンドコ疾走系のファンクナンバー「ラブ・ミー・ジャスト・ア・リトル」で勢いよく幕開けした後は、カシーフ共作のポップなのりが彼ららしいミディアム「フォー・ユー」、爽やかな歌い上げ系バラードの「アイ・ドント・ワナ・ゴー」、レニー・ホワイト&マーカス・ミラープロデュースで、バーナード・ライトとデュエットするラテン・フレイバーを効かせた「ウィル・キープ・ストライヴィング」、80年代前半のドナ・サマーを思わせるポップ・ロック調で、内容はララ版「恋はあせらず」といった感じの「エニー・マン・ウィル・ドゥ」、再びのフルフォース・ファンク「マイ・ラブ・イズ・オン・ザ・マネー」、煌びやかなNYサウンドが心地よいミディアム・ナンバーの「ディール・ウィズ・イット」、グレン・ジョーンズをパートナーに迎えたライト・ファンク「オール・ワーク、ノー・プレイ」、そして「リズム感」のあるミドル・バラードの「ソー・イントゥ・ラブ」と、曲ごとに世界観の変わっていくような非常にバラエティに富んだ内容。

彼女自身にそういった様々な要素をこなすだけのバーサイタルな面もあったのでしょうけど、このジャケットからもうかがえるように、完全に第二のホイットニー路線をクライブ・デイビスから背負わされたのは一目瞭然。声質的にはあまりがっつりした「黒さ」がにじみ出るタイプではないので、正直なんでも来いなこの路線は彼女の持つ魅力を薄めてしまったのかな、という気がしてなりません。

名声ほどに本作への評価が聞こえてこないのはそのあたりに原因があるような。全盛期は過ぎていたにしても、カシーフとがっぷり4つに組んでもう少し統一感のあるR&Bアルバムを作っていたなら、もっと違った展開になったのかも…というのは、いつもの「たられば」ですけどね。

何と20年ぶりの再CD化。ここを逃すと今度はいつ出会えるかわからないので、ご興味のある方はお早目にお買い求め下さい。

チャートデータ
アルバム
R&B 57位
シングル
「(If You)Love Me Just A Little」:R&B 22位
「My Love Is On The Money」:R&B 48位




良いお仕事をされてます。
posted by Suzu at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | R&B系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月10日

メルバ・ムーア『ホワット・ア・ウーマン・ニーズ』(81年)

Melba Moore:What A Woman Needs(81年)

あちこちで話題になってますけど、今キテますメルバ・ムーア。

これからリリースされるものも含めて何と昨年から怒涛の7枚リイシュー。ラインナップは以下の通りです。

@Melba(78)
ACloser(80)
BWhat A Woman Needs(81)
CThe Other Side Of The Rainbow(82)
DNever Say Never(83)
ERead My Lips(85)
FA Lot Of Love(86)

@→Big Break Record A→Vinyl Masterpiece B〜F→Funkytowngrooveからのリリース

Cは人気盤だけあって度々再発されてましたし、DとEも数年前に2in1で出されましたけど、その他の物は初CD化だったり20年ぶりぐらいのCD化だったりで有り難さも一入。
人気ミュージカル『ヘアー』のオリジナル・キャストとして注目された後、レコーディング・キャリアをスタートさせたのは70年からで、以来90年の『ソウル・エクスポーズド』まで(これ以降はゴスペルに移行)で19枚のアルバムをリリースしているメルバ。
ハッシュ・プロに所属した80年代がヒット曲歌手としては最も輝いていた時期ですので、その手前のところから全盛期の彼女のお仕事をたっぷりと堪能出来るという意味でも今回のリイシューは最もツボをついたところかもしれません。

C以降は各々手に入れた際HPやブログでご紹介しておりますので、今回はとりあえず81年の『What A Woman Needs』を取り上げたいと思います。

旦那様の主催するハッシュ・プロに所属しての第一弾となった本作。
「エイント・ノー・ストピング・アス・ナウ」で有名なソウル・デュオ、マクファデリン&ホイットフィールドがメイン・プロデューサーを務めており、冒頭を飾っているのはプロデューサーズ自らも登場するダンス・クラシックとしての認知度も高い「レッツ・スタンド・トゥギャザー」。若干70年代ディスコ的な香りも漂わせるグルーヴィーな楽曲を中心に、可憐な歌声で聴かせるバラードの「オーバーナイト・センセーション」等佳曲が並んでいますが、その後の攻勢ぶりを考えるとまだアルバム全体としての完成度・プロダクションとしては若干大人し目。
ただしそんな中でも飛びぬけているのが当時まだプロデューサーとしては新進だったカシーフが手がけた「テイク・マイ・ラブ」。メルバのブレイク・ポイントとなった次作『The Other Side Of The Rainbow』の先取りといった感じで、カシーフらしいポップなフレイバーの効いた躍動感のあるサウンドが素晴らしい1曲になっています。メルバにとって78年の「You Stepped Into My Life」以来のR&Bトップ20入りのヒットにもなりましたから、この路線が推し進められることになったのは当然のことですよね。本リイシュー盤にはボーナストラックとして何故かエディットしてある「テイク・マイ・ラブ」の12インチ・バージョンと、同曲のシングルB面だった「ジャスト・ユー・ジャスト・ミー」が収められています。

今回リイシューが及ばなかった88年の「I'm In Love」、当時アニタ・ベイカーがお気に入りだった私は似たタイプの女性シンガーを求めて、タワレコのBounceに何となくそれらしく紹介されていた本作を購入したのですけど、あまりピンと来ずに(大変珍しく)手放してしまったんですよね。メルバを何者か知って以降ちょっと後悔して探してますが、これが意外にレア盤化していてあれ以来出会わず、初期のマーキュリー時代やブッダ時代と合わせ、いつかリイシューのラインナップに乗ってくれることを願っている私でございます。
Wikipediaを見ていたら、メルバは85年の「Never Say Never」でグラミーの最優秀ロック女性ヴォーカルにノミネートされたこともあるんですって。この部門第一回の受賞者はドナ・サマーだったりしますし、当時の混迷ぶり(?)がうかがえるエピソードですよね。

ここまでまとめてメルバを味わえるのはほぼ間違いなく今だけ。
@Aは私もこれからなのでコメント出来ませんが、お薦めはやはりC〜Eあたりでしょうかね。
是非お手を出してみて下さいませです。

チャートデータ
アルバム
R&B:46位
シングル
「Take My Love」:R&B 15位
「Let's Stand Together」:R&B 44位





圧巻の「Lift Ev'ry Voice And Sing」が収められた90年作とハッシュ時代の詰まったベストもお薦め(お店ならこんなに高くないはず…)
posted by Suzu at 21:30| Comment(6) | TrackBack(0) | R&B系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月03日

ポインター・シスターズ『ソー・エキサイテッド』(82年)

Pointer Sisters:So Excited!(82年)

最後の砦だった『プライオリティ』も一昨年めでたくCD化され、ブルーサム時代からプラネットまでほぼ出そろった感のあるポインター・シスターズのリイシューですけど、ここに来て英国チェリー・ポップ・レコード傘下のビッグ・ブレイク・レコードのカタログにラインナップされはじめてしまいました。
Big Break Recordはほぼプート盤などと揶揄されるFunkyTownGroovesや、同工異曲のWounded Bird等と比べると、ブックレットやボーナス・トラックの充実ぶりで大人と子供ぐらいの差があり、しかもこちらの好みのツボを狙ったようなアーティストばかりを繰り出してくるので、見て見ぬふりをするにはちと魅力がありすぎるかなと困っている今日この頃。
今月にはボートラを9曲も詰め込んだ『コンタクト』なんかも出てしまうし…ということで、お先リリースの『ソー・エキサイテッド』」と『スペシャル・シングル』をとりあえずお取り寄せいたしました。『スペシャル・シングス』は以前の再発の際ちらちらっと書いたので、今回は『ソー・エキサイテッド』を取り上げたいと思います。

何といってもこの躍動的なジャケット、いいと思いません?名匠ノーマン・シーフ撮影によるもので、同じ姉妹グループのジョーンズ・ガールズにも全く同一コンセプトのジャケ写が存在するのも有名ですよね。もちろんプロデューサーを務めるのはリチャード・ペリー。
タイトル曲はポインタースの代表ヒットのひとつですが、本作から第二弾シングルとしてリリースされた際はポップ30位/R&B46位と中ヒットに留まっています。しかし次作『ブレイクアウト』にリミックス・バージョンが再収録され、「オートマティック」「ジャンプ」のヒットの後に再びシングル・リリースされるとポップで8位まで上昇。珍しい返り咲きヒットを記録した作品としても記憶されている1曲です。この曲の持つエネルギーというか踊れ踊れ感は、ちょっと他に比べるものがないかな?特に間奏部分の爆走するピアノ・ソロからの高揚感は筆舌に尽くしがたいです。

第一弾シングルとしてカットされたのは得意な懐古調の「アメリカン・ミュージック」。こういうのを真っ先にシングルにするあたりが彼女たちの他に変えようのない個性ですよね。他の収録曲は彼女たちならではのいぶし銀的魅力の光るアーバン・ポップがズラリ。後にチャカ・カーンがヒットさせるプリンスの「アイ・フィール・フォー・ユー」もお先に披露しちゃって先見性の高さも披露しております。また「シー・ハウ・ザ・ラブ・ゴーズ」はポップ・グループのアメリカがデュオになって以降のアルバムで取り上げたりもしているので、機会があれば聞き比べ等も一興かと思います。

本作はアルバム・シングルともに従来に比べるとややおとなし目の成績で終わりましたが、よりエレクトリックな仕掛けを施した次作『ブレイクアウト』が文字通りの大ブレイク。その布石になった作品、と言ったらちょっと聞こえが悪いですけど、その微妙に抑え目な部分がファンには堪えられない魅力となっている好盤です。

チャートデータ
アルバム
Pop 59位/R&B 24位
シングル
「American Music」:Pop 16位/R&B 23位
「I,m So Excited」:Pop 30位/R&B 46位
「If You Wanna Get Back Your Lady」:Pop 44位/R&B 67位




posted by Suzu at 07:30| Comment(6) | TrackBack(0) | R&B系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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