2012年07月29日

『黒蜥蜴』(68年)

Black Lizard(68年)

唐突ですけど『黒蜥蜴』。

私、ポプラ社の少年探偵団シリーズを手始めに江戸川乱歩作品を読み漁った口で、初期の巧妙な短編作品から後期の猟奇通俗小説まで、本当に大好きでございました。

最近はさすがに少なくなりましたけど、映像化作品も目にする機会が多かった昭和の時代を過ごしているので、土曜ワイド劇場での天地茂さん主演の明智小五郎シリーズとかも思い入れがたっぷり。見たのは割と最近ですけど、カルト映画の代表とも言える「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」とか船越英二さんと緑魔子さんが倒錯の限りをつくす「盲獣」なんかも忘れられない作品だったりします。

そんな映像化作品の中でも一番のお気に入りが62年(昭和37年)に大映で撮られた京マチ子さん主演の『黒蜥蜴』。『黒蜥蜴』は女盗賊黒蜥蜴と名探偵明智小五郎のダイヤと美女を巡る攻防と悲恋を描いた変則型ラブ・ストーリーともいえる作品で、最初に見たのはテレ東のお昼の映画劇場だったと思いますけど、そのミュージカル・タッチのモダンな演出と乱歩独特の猟奇的世界の融合っぷりの素晴らしさにノック・ダウンされました。黒蜥蜴=京マチ子さんが犯行現場から男装して踊りながら逃亡をはかるシーンなんて、本当に最高。大木実さんの颯爽とした明智小五郎も素敵でしたし、どんなに3丁目の夕日が素晴らしくても再現出来えない本物だけが持つあの時代のパッケージというのも、今となってはとても貴重な素晴らしい作品でございました。(手持ちのVHSは永久保存…ただし機械が壊れないうちにデータ化したいところです。)

でもって『黒蜥蜴』と言って忘れちゃならないのが丸山明宏さん=美輪明宏さん主演版のもうひとつの『黒蜥蜴』。





乱歩が『黒蜥蜴』を執筆したのは34年(昭和9年)ですが、61年(昭和36年)に三島由紀夫氏が戯曲化した事で視覚的なエンターテイメントとしてコンバートされ、まず62年、初代水谷八重子さんの舞台と京マチ子さんの映画版がほぼ同時に上演。続いて68年に美輪さん主演で舞台版と映画版が制作され、以降美輪さんの当たり役として度々舞台版のほうは上演されています。(知りませんでしたけど、つい先月まで明治座創業140周年記念作品として、浅野ゆう子さん主演の『黒蜥蜴』が上演されていたらしいです。)

一度こちらの作品も見たいと思っていたのですが、残念ながらレンタルやセルでもソフト化された事があるのかないのか定かでなく、私の中では幻の一編となっておりました。しかし、ひょんな事からYou-Tubeで『黒蜥蜴』と検索したら、あれま吃驚、美輪さん主演の『黒蜥蜴』がまるまるアップされてるじゃありませんか!本当に最近のYou-Tubeは凄いですね(って3年前からアップされてたみたいですけど)。早速(消えないうちに)拝見させていただいた次第です。

正直明智小五郎役の木村功さんにあまり魅力がないのと作品全体の作りも京マチ子さん版のほうに色々軍配があがるところですが、やはり美輪さんの独特な雰囲気、そしてより三島さんの戯曲に近いんじゃないかと思う芝居がかった詩的な台詞の数々(京さん版も原作は三島さんの戯曲)等、抗いようのない魅力に溢れた作品でございました。三島由紀夫さんも特別出演していてその肉体美を披露してたりするのも貴重ですよね。英語の字幕がついてるし、最後のクレジットを見るとどうやら英国でソフト化されたものをアップしくれた模様。残念ながら英国amazonで検索しても商品自体はヒットしなかったので、今はやはり幻の作品であることに違いはないみたいです。

しかし、68年にいわゆるマイノリティの方の主演映画がこうして堂々と作られている訳ですから、日本ってある意味進んだ国だったんですかね。芸能の世界に関しては、歌舞伎の女形とか宝塚とか、ある種認められる下地というのがあったから実現足りえたのでしょうか?

未見の方は、消えないうちにどうぞご覧くださいませです。
その妖艶優美の世界、必見です。




全部で9分割されています。



あのピンク・マルティーニが「黒蜥蜴」の主題歌をレコーディングしてます。さすがトーマスさん!


61-yMVGo46L__AA300_.jpgkurotokage_02.jpg

やはりこの作品はソフト化されてないのかな?美輪さんのCDもこんなに高値でやだやだ。03年の舞台版ポスター。



乱歩の原作も超面白いです。そして京さんのはVHSやレーザー・ディスクになってますのでハードがある方は是非。天地さん版では小川真由美さんが黒蜥蜴に。他に岩下志麻さんも演じています。
posted by Suzu at 01:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画・ミュージカル系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この手の荒業動画は削除されそうですね(笑)

でもそれというのも、幻のソフトになってるからですから、版元がまたリイシューして出してくれればいいんでしょうけど。

この映画って深作さんが監督でしたっけ?
これ以降は確か映画としては作られてないような。
今や「黒蜥蜴」は美輪さんの代名詞のようなもんですから、業界でも美輪さん以外の「黒蜥蜴」は当たらないという定説があるようで、なかなか手が出しにくいみたいですね。
浅野さん、チャレンジでしたね(苦笑)

江戸川乱歩はアタシも中学生の頃に読み漁りました。
天知さんの明智小五郎も凄く印象に残ってますね、やはり。
Posted by 詩子♂カンタービレ at 2012年07月29日 12:33
詩子♂カンタービレさん、こんにちはです。

調べた限りではソフト化された形跡がないんですよね。何か権利的にクリア出来ないものがあるのかも?

監督は深作さんですね。

誰かの当たり役となってるものを演じるのは、かなりのチャレンジですよね。「黒蜥蜴」と言えば美輪さんですし、いっそそういったラインで継承していってもいいのかなと思います。「ヘアスプレー」のママみたいに(smile)。

乱歩、正史は未だに好きですね。天地さんのはやはりテーマ・ソング、印象に残ってます。
Posted by Suzu at 2012年07月29日 21:25
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