2012年07月28日

ドナ・サマー『オール・システムズ・ゴー』(87年)

All Systems Go(87年)

87年にリリースされたドナ・サマー13枚目のオリジナル・アルバムです。

前作『キャッツ・ウィズアウト・クロウズ』から3年のインターバルを空けてリリースされた作品で、私個人としては初めてリアル・タイムで手に入れたドナのアルバムになります。

メイン・プロデューサーはカサブランカ後期にドナ・チームの一員となり、『トップ・ガン』のサントラ・ヒット等で80年代も活躍していたハロルド・フォルターマイヤーが担当。本作からのリード・シングルとなった「ディナー・ウィズ・ガーシュイン」は売れっ子プロデューサーのリチャード・ペリーが手掛けている他、アーバン・コンテンポラリー系のヴォーカル・グループ、クラッキンのメンバーだったピーター・バネッタ等が参加しています。





ミドル・テンポで解放感のあるサウンドが心地よく、再始動にかけるドナの気持ちが込められたような「オール・システムズ・ゴー」からアルバムはスタート、ポップ・ロック・アプローチのスピード感豊かな「バッド・レピュテーション」と「ラブ・ショック」、オリエンタル調の温かみのあるメロディが美しいヴォーカル・ナンバー「ジェレミー」、スターシップのミッキー・トーマスを迎えたAOR調バラード「オンリー・ザ・フール・サバイブ」、重量感たっぷりのサウンドに軽快なメロディー、ファンタジックな歌詞とユニークな構成をもつブレンダ・ラッセル作の「ディナー・ウィズ・ガーシュウィン」、そしてどことなくミステリアスな雰囲気を漂わせ、個人的にはリータ・ギャロウェイのバージョン等も思い出深い「ファシネイション」、清涼感のある流れる様なメロディが印象的な「ヴォイシズ・クライン・アウト」、メランコリックかつダルなヴォーカルがドナの新たな一面を見せる「マイ・ベイビー」というスロウ・ナンバー3連打でしっとりと幕が引かれる全9曲構成。





CD時代に入った事もあってか抜けのいいサウンドが特徴、久しぶりの作品という事もあってアルバムにリフレッシュしたような新鮮な空気感があるのが本作の魅力になっています。

3年振りのリリースに味わい豊かなファースト・シングル、日本では来日公演も行い「夜のヒットスタジオ」に出演したりとメディア的な露出や話題性はそこそこ高かったのですが、残念ながら米国でのチャート成績的にはシングルもトップ40入りせず(R&Bではかろうじてトップ10入り)、アルバムに至ってはトップ100入りも逃すという惨敗を期してしまいました。

やはり一度ヒット・チャートの一線から外れたベテランが再びヒットをものにするには、よほど時流に乗った展開をしないと難しいでしょうし、ホイットニーやジャネット等の次世代のスター達が70年代後半のドナばりに大ヒットを連発していた時代ですから、同じ土俵で勝負するには正直歩が悪い状況だったように思います。

そんな訳で大きなリアクションもなくひっそりと見送られたような感じでしたが、最近になって意外とこの作品、あちこちで好きだったという人が現れて隠れ人気が高いことが判明。主に玄人受けするシンガーソングライターであるブレンダ・ラッセルの「ディナー・ウィズ・ガーシュイン」人気に起因している面もありますが、後半のミスティーなバラード3連打部分も「新境地」として評価する向きがあるみたいです。

ヴォーカル・アルバムとしての純度はホリデイ作品を除くと一番高いかもしれませんね。
今後更に再評価が期待できる佳盤でございます。

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当時はCDとアナログのまだまだ共存時代。私もアルバムはCDで、シングルは7インチ・レコードで買ったりしていました。


All Systems Go

1. All Systems Go
2. Bad Reputation
3. Love Shock
4. Jeremy
5. Only the Fool Survives
6. Dinner With Gershwin
7. Fascination
8. Voices Cryin' Out
9. Thinkin' Bout My Baby

チャートデータ
アルバム
Pop 122位/R&B 53位
シングル
「Dinner With Gershwin」: Pop 48位/R&B 10位
「Only the Fool Survives」:AC 14位



「ディナー・ウィズ・ガーシュウィン」のセルフ・カバー収録。ブレンダの作品中最もライト・テイストなアルバム。

posted by Suzu at 00:00| Comment(6) | TrackBack(0) | ドナ・サマー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
これ、おっしゃる通り、そんな悪いアルバムじゃないですよね。
本当に一旦ヒットチャートの中で埋もれた存在になると、結果がでないもんですね〜。 
ブレンダ・ラッセルの作品を取り上げてるところなんか、結構趣味がいいと思うんですが。
Posted by 詩子♂カンタービレ at 2012年07月28日 11:00
詩子♂カンタービレさん、こんにちはです。

当時はそんなにヘビーローテーションしたって訳ではありませんでしたけど、ヴォーカル面の充実振りは相変わらずですし、曲も佳曲が並んでいて味わいのある作品ですよね。

ブレンダは旦那様のバンド、ブルックリン・ドリームスのアルバムに参加してたりしますし、「恋の魔法使い」のコーラスを経て、満を持してって感じだったのかも。この曲も本当に面白い曲だったんですけどね、結果が出なかったのは残念でした。
Posted by Suzu at 2012年07月28日 17:17
こんばんは!
すごく期待して買ったのにそんなにそんなに聞かなかったかなって記憶になってますが、CD取り出して聞いてみるとそれでも血肉となって1曲1曲しみついるぐらいは聞き込んでたなと。
当時はシングルの「Dinner With Gershwin」の洒落た感じが分からなくて時間がかなり過ぎてから好きになった曲ですね。ちょうどブレンダ・ラッセルは「Piano In The Dark」が大ヒットしてた頃だったのかな?
それよりも「Voices Cryin' Out」をよく聞いてたな。シンディの「All Through The Night」を彷彿させるところもある素敵なポップチューンだなと、今聞き直してますがやっぱり思います。
「Thinkin' Bout My Baby」もいい曲だな。ポップロック的なアプローチでドナものって歌っていますね。当時で言えばフォリーナーみたいな。シングル曲はリチャード・ペリーのプロデュースのせいかドナらしいのびやかな声が聴けなず、きっちり作りこみすぎてる気がしますね。
本当かどうかわかりませんが当時アメリカ市民が大きなショックを受けたスペースシャトルの事故を「All Systems Go」って言葉が思い起こさせてしまうのがプロモーション的にマイナスだったということを書いてた方もいらっしゃいましたね。
Posted by Alex at 2012年07月28日 23:25
Alexさん、こんにちはです。

私も聞き倒した!って事はないんですけど、それぞれメロディは歌えるほどに聴いてはいましたですね。
こうして過去の作品として対峙するといいアルバムだったな〜と思いますけど、当時のコマーシャルな成功を狙うポップスとしては、やはり今一つだったかなと思います。
「ディナー・ウィズ・ガーシュウィン」もブレンダ・ラッセルだしリチャード・ペリーだし力入ってたんですけどね。こういうタイプの曲は当たる当たらないと言うのが本当に難しいです。

「マイ・ベイビー」は「ガールズ・ライク・ユー」みたいなイメージですかね(smile)。

そうか、丁度スペースシャトルの事故があった頃なんですね。あの事故は衝撃的でしたからねぇ…。まぁ本当にそういう影響があったとしたら、作品の力ではどうにも出来ないマイナス様相ですからね、80年代のドナは色んな意味でついてなかったなと思います。
Posted by Suzu at 2012年07月29日 08:46
私は逆にこの頃から聴かなくなって、アルバムも
この頃から買わなくなっちゃいました。
でも、みなさん結構このアルバムに思い入れや
評価が高いんですね。確か、このアルバムは中古
でも手に入りやすいですし、どこかで見つけたら
買って、もう一度聴き直したいです。
Posted by 小さな足 at 2012年07月29日 09:46
小さな足さん、こんにちわです。

少しインターバルをとりましたものね。私なんかは丁度このお休み期間にカサブランカ時代の作品を聴いてドナに興味を持ち、そして初めて新譜で手にしたアルバムでしたから、やはり思い入れはあるんです。
他のゲフィン作品と違って、CD時代に入ってからリリースされたものなので手に入れやすいですよね。お見かけの際は是非!
Posted by Suzu at 2012年07月29日 20:55
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