2012年07月22日

由紀さおり『う・ふ・ふ/由紀さおり 宇崎竜童を歌う』(77年)

Saori Yuki:U Fu Fu Saori Yuki Sings Ryudou Uzaki(77年)

ピンク・マルティーニとの共演アルバムの大ヒットを受けて、由紀さおりさんの旧譜8作品が紙ジャケットでのリリースとあいなりました。

同時代の歌い手さんとしては、何と言ってもBOXセット「ねぇあんた」の発売を機に火がついたちあきなおみさん再評価による怒涛のリリース・ラッシュが記憶に新しいところですけど、由紀さんの場合現役歌手として新譜を大ヒットさせての凱旋みたいなものですから、その意味合いはまたちょっと違うのかなと思います。他に与える影響と言うことを抜きに考えれば、ちあきさんの場合きっとどんなに願ってもそれは過去の偉大なる遺産の発掘にしかならないでしょうけど、由紀さんの場合はその反応が何がしか現在の活動への活力としてフィードバックされる可能性がある訳で、そういう期待が持てるだけでもこのリイシューはとても意味のあることだと思うんですよね。

そして今回ですが、ピンク・マルティーニとの作品がカバー集だったという事で、リイシューの対象に選ばれたのも全てカバー曲メインのアルバムということになってしまいました。いわゆる昨今のカバー曲ブームと由紀さんのやった事は全く別物だと思うのですが、まぁマーケティング的な事を考えても手始めとしてこういう着想になったのは致し方ないのかなと。

歌謡曲系の方のアルバムのリイシューというのは売れるか売れないかという事よりもほとんど企画者の情熱に左右されてるようなところもあるのですが、由紀さんのように明確に売れて注目度が高いという実績があればリイシューの企画も通りやすいはず。ブーム的なものが続いているうちに、出来ればほぼ聞く機会のないオリジナル作品メインのアルバムのリリースにも手を伸ばしていただきたいと(切に)思いますです。

もちろん全作品いずれは揃えたいのですけど、とりあえず最初の1枚ということでチョイスしたのがこれ『う・ふ・ふ/由紀さおり 宇崎竜童を歌う』。その名の通りタイトル曲の「う・ふ・ふ」と「ふらりふられて」という由紀さんの為に書かれたオリジナル曲の他、「横須賀ストーリー」「夢先案内人」「硝子坂」「ワン・デイ」「想いでぼろぼろ」等の宇崎竜童作品を集めたカバー曲集でございます。

三味線イメージの思いっきり演歌的な出だしからスピード感豊かな洋風メロディにスライドしていき、本編の由紀さんの歌はこぶしを回す勢いの和テイストな「う・ふ・ふ」。もう少し抑えめながら同じようなテイストで、ふられたのはあれのせい?…と理由を並べてみる歌詞がユニークな「ふらりふられて」は、もう日本でしかありえないザ・歌謡曲といった風情が満載。こういう和的なものと洋風なものとの絶妙なミクスチャー表現は、由紀さんの真骨頂ですよね。また今さら何をという感じですけど、宇崎竜童という作曲家のテリトリーの幅広さも実感出来る作品だと思いますです。





カバー曲ではちょっと泣きの入った「愛人(アマン)」が最高。「サヨナラは嫌いな言葉」「欲しいものは」「風恋歌」等のはまり具合も素晴らしいです。まぁ元も子もない事を言えば由紀さんの場合本当に何を歌っても上手いので言うことないのですけど(smile)。敢えて文句をつけるなら「横須賀ストーリー」等はさすがに百恵さんの圧倒的なヨコスカ感の前では普通の歌謡曲になってる感じですし、「硝子坂」もあのシュールな世界が妙に安定感のあるものになってしまってるのがちょっと違うかな?なんて思ったりもいたします。あくまで敢えて言うなら、ですけど。

由紀さんはこの後宇崎さんと組んで「TOKYOワルツ」という名曲を発表してます。これも本当に、良い曲なんですよねー。




少々の文句をつけながらも最近は『1969』に変わってこのアルバムばかり聞いている私でございます。由紀さんのアルバムはコスト・パフォーマンスがダントツなんですよね。はー、他のも買わなきゃ。




研ナオコさんの宇崎竜童作品集。こちらも傑作です。



posted by Suzu at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 歌謡曲/J-POP系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
貼って頂いた2曲、懐かしいです!

何だかんだで、由紀さんの曲、結構覚えてることに改めて気づきました。

宇崎さんの曲を歌ったアルバムなんかも出してたんですね〜。
それだけ当時は宇崎さん夫妻がソングライターとして活躍していた事も再認識。
「横須賀ストーリー」は想像だけでも、横須賀ではなさそうな気はしますね(笑)
Posted by 詩子♂カンタービレ at 2012年07月22日 11:05
詩子♂カンタービレさん、こんにちはです。

「う・ふ・ふ」は最初にちょっとだけ笑い声みたいのが聞こえますから、ドリフ大爆笑とかからの映像かもしれませんね。こういう番組からの刷り込みってのも由紀さんの場合はけっこうあるのかもしれませんよね(smile)。

由紀さんはけっこう色んなチャレンジングをしてたみたいなんですよ。そういうのもあって、オリジナル・アルバムの復刻を希望してるんですけどね。
やっぱり当時の宇崎阿木コンビは凄かったなーと改めて思います。良い曲たくさん作られてますしねー。
Posted by Suzu at 2012年07月25日 21:07
由紀さんの「TOKYOワルツ」「サヨナラは嫌いな言葉」もなかなか良いですね!宇崎竜童さんを通して研ナオコさんと由紀さおりさんの共通点を発見しました。
Posted by ニシキ at 2013年01月12日 13:18
ニシキさん、こんにちはです。

由紀さんクラスになると、正直何を歌わせてもそうそう下手な仕上がりにはなりませんよね(smile)。お二人にはやはり歌謡曲歌いとしての血が流れてますし、素晴らしい歌い手で良質のコメディエンヌで・・・実は共通点の多いお二人ですね。
Posted by Suzu at 2013年01月15日 22:54
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