2012年04月30日

ジェロ『情熱』(12年)

Jero:Jyo-Netsu(12年)

演歌界の黒船なんてキャッチ、最初からありましたっけ?
黒人演歌歌手ジェロさんの3年ぶり2作目のオリジナル・アルバムです。

まだかまだかと石の上にも3年、ようやく出ましたねオリジナル・アルバム。演歌系なら尚の事CDが売りづらいのはわかるんですけど、カバー・アルバムの3連打はさすがにないなと。もちろんどのアルバムもジェロさんの歌心が詰まった素晴らしいものでしたが、ジェロさんにとってもこれは少々解せない展開の3年間だったのではないかと思います。

待望のアルバムはコンパクトに全10曲。前作の豪華幕の内弁当のような内容からは一歩引いた印象ながら、より噛みしめるほどに味わいが増すような楽曲が揃った好作品集になっています。

オープニングを飾っているのは『CRパチンコ必殺仕事人W』のテーマ曲として平尾昌晃大先生が書き下ろした新曲「夜明けの風」。もうどっから切っても平尾節、どっから聞いても仕事人な1曲です。親切にもオリジナルの仕事人のテーマ曲である「荒野の果てに」のカバーも後半に収録してくれてますので、その双生児ぶりを一気に楽しむことが出来ます。ま、どっちの曲も血沸き肉躍るかっこよさなのは間違いないですね。

その他は散る運命にあることがわかっていても可憐な花を咲かせたいと願う恋心が切ない「愛の花」、ブラス歌謡ならぬブラス演歌の「黄昏メトロ」、ギターの音色を擬音化して取り入れた歌詞が斬新かつ叙情的な「北へ流れる」、WINKの諸作等でお馴染みの及川眠子さんが情念的な作詞を手掛けた「火焔樹」、宇崎竜童さんが歌えばそのままブルースになるところをジェロ流演歌として聞かせる「旅の途中」、泣けないほどの悲しみを嘘泣きでつくろって男を行かせよういう女心がこれまた切ない「嘘泣き」、演歌だから和的なのは当たり前なんですけど、ジェロさんがやると「オリエンタル」という表現を使いたくなる和モダンな世界の「恋心」、常連作家である中村中さんの独特な独り泣きの世界が展開される「ただ…涙」というラインナップ。

相変わらずジェロさんは上手くていい声だし、楽曲の完成度も高いんですけど…うーん、なんだろう、もう少し遊びが欲しいというか、もっと弾けた部分があってもいいように思うんですよね。

以前ジェロさんは氷川きよし君に対する最大のカウンターだと書きましたけど、王道ゆえに思いっきり遊んでも本筋がブレない氷川君に対し、既にカウンターの位置にあるジェロさんは常に王道に近づくことを意識し過ぎて面白い事にチャレンジし難くなっている感じがしちゃうんです。存在自体が独特ゆえに、あまり斬新なことをやってキワモノに思われることをご本人、スタッフともども恐れているのかなぁと。

真面目なんですよね、きっと。演歌が大好きだからこそ、その心を大切に歌っていきたいという気持ちもよくわかるのですが、絶対ジェロさんにしか歌えない新たな「演歌」の世界というのがあるはず。既成の演歌の世界の中だけで収まるには、どうにもこうにももったいない逸材なんですもの。
最近は役者に挑戦したりミュージカルでブルースを歌ったりと活動の幅を広げているジェロさんですので、様々な経験をして今後自分のスタイルを確立していってほしいなと思いますです。生意気書きましたが、本当に応援してますので。

真の演歌界の黒船になることを、願っております。

チャートデータ
アルバム 189位
シングル
「ただ…涙」:67位
「嘘泣き」:47位
「夜明けの風」:67位

「嘘泣き」→http://youtu.be/ba9rKhVAz80





ジェロさんのフェイバリット・シンガーはルーサー・ヴァンドロス。
posted by Suzu at 10:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 歌謡曲/J-POP系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
そのキャッチ、あったような気もしますけど、リア・ディゾンも同じようなキャッチだったので混同してるかも(笑)
真面目なコって感じですよね、インタビューとか聞いてても。
最初衣裳を着物でって話もあったようですけど、やはりキワモノっぽくなるからって事でやめたようですね。
昨日の赤西くんとかと逆パターンなわけですけど、確かにせっかく異文化の人が歌うならプラスαを期待してしまうのはありますね。
氷川くんの方が遊びがあって、やはりちょっと面白く見えますもんね。
Posted by 詩子♂カンタービレ at 2012年04月30日 13:58
詩子♂カンタービレさん、こんにちはです。

あぁ、グラビア界の黒船(smile)。そっちのほうを忘れてましたね。

ジェロさんの場合、ついこちらが余計な期待をしちゃうっていうのもあるのかも知れません。ご本人は普通に演歌を歌っていこうと思ってるかもしれない訳ですから。
デビューが派手だったので、その後イマイチ波に乗り切れていない風ですが、演歌はどうしてもそれが日常的な世界。氷川くんがマレなんですよね。
アラビア風の衣装で「バイバイ・バイヨン♪」なんて歌える氷川くんはやはり素晴らしいです。

ジェロさんがやったら…やっぱりダメかもしれませんよね(smile)。
Posted by Suzu at 2012年04月30日 15:26
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