研ナオコさん、92年にリリースされた16枚目のオリジナル・アルバムです。
ナオコさんは現在のご主人と87年に結婚され、同年にご長男を、89年にはご長女をご出産されています。きっと子育てを優先されていた状況があったのだと思いますが、前作『Bitter』から3年のインターバルをとってのリリースとなったアルバムです。
初のセルフ・プロデュースとなった本作ですが、お馴染みのといえるのは編曲で参加している若草恵さんぐらいで、後の方は初めて組む面々ばかり。
ナオコさんのアルバムはその人脈の広さもあって豪華な作家陣が並ぶことが多いのですけど、本作では谷村新司さん、渡辺真知子さん、オルケスタ・デ・ラ・ルスのNoraさん、シャ乱QのMAKOTOさん、専業作家では都会的な作風で知られる都志見隆さん、テレサ・テンさんの作品等でお馴染みのベテラン荒木とよひささん等が名を連ね、大人の女性のちょっと悲しい恋物語をそれぞれのタッチで綴っています。
先行シングルとしてリリースされたのは谷村新司さんらしいペーソス溢れるミディアム・ナンバーの「悲しい女」と、そのカップリングで。(歌詞では逆に歌っているけど)恋人のために綺麗でいたいと願う純粋な女心を歌った「綺麗になりたい」の2曲。綺麗になりたぁい〜♪とエステのCMソングとして大量オン・エアされたカップリングのほうが曲としては有名かもしれませんね。
書き下ろしは初めてですが、カバー曲としては過去に「秋止符」を唄っていますし、この後の『Ago』でも「帰らざる日々」を取り上げているので、ナオコさんアリスはお気に入りなんじゃないでしょうか。
また本場でも評価されているジャパニーズ・サルサ・バンド、オルケスタ・デ・ラ・ルスのNoraさんとShiroさんが書いた「P.S.話がちがうじゃない」は、みゆきさんの「みにくいあひるの子」以来となるラテン・ナンバーで、詞の内容はともかく賑やかなタッチがナオコさんのシングルとしてはニュー・タイプな感じでございました。本アルバムではナオコさんのソロで収録されていますが、3ヶ月後に敏いとうとハッピー&ブルーに在籍していた古関正美さんと和泉順也さんにより結成されたデュオ、ライラックスとのデュエット・ナンバーとして歌い直され、「ナオコwithライラックス」名義でシングル・リリースもされています。
若干異色でもあるそのナンバーを除くと、少々枯れ始めた歌声も良い具合に曲の味わいとして昇華されたような、心に沁みるナオコさんのバラードの世界がたっぷりと楽しめる本作。
MAKOTOさんの「Hold On Me」、高橋睦子さん作詞、渡辺真知子さん作曲の「材木座あたり」、荒木とよひささん作詞、都志見隆さん作曲の「悲しみよ声をかけないで」、中川麻衣さん作詞、都志見隆さん作曲の「OFF」あたりが本作の基調となる楽曲。
ここに森川ゆうさん作詞、若草恵さん作曲のボサ・ノヴァ「Half Moon」、荒木/都志見コンビによるスウィング・ジャス・テイストの「ひとり遊び」、同コンビによる本アルバムの中では比較的歌謡感の強い「涙が海になるくらい」等が緩やかな起伏をアルバムに提供しています。
本作のキーワードはやはり「綺麗になりたい」という言葉でしょうか。アルバムの随所に散りばめられたその言葉には、心身ともに愛させるべき美しい人間でありたいと願う女性の心情がにじみ出ており、ナオコさんが世の女性の思いを代弁するかのように歌い語るとても味わい深い作品です。
商品としては既に廃盤ですが、CD時代になってから発売されたアルバムのため、中古品ではよく見かけますので、機会があればお手に取ってみていただきたいと思います。
※08年8月にレビューしたものを改稿しました。
…実は3年前に一度このアルバムのレビューを書いていたらしいのですが、全く覚えていず。今回本作をレビューしようと思って曲について調べていたら、何と自分のブログがヒットしたというとんちんかんぶりでした。CD今回改めて購入して聴きこんでたんですけどね。と言うことはもう1枚家に本CDがある訳です。露ほども思い出さなかったなんて、我ながら吃驚。『恋愛論』も『中島みゆきを唄う』も同時期にレビューしてたみたいです。…二度吃驚。
チャートデータ
アルバム
わかりませんでした。
シングル
「悲しい女」
わかりませんでした。

