2011年11月12日

研ナオコ『ディープ』(85年)

Naoko Ken:Deep(85年)

人間は過ちを犯す生き物

…って、自分の事なんですけど。
この『Deep』、ナオコさんの14枚目のオリジナル・アルバムですが、オリジナル作では初めてリアルタイムにCDがリリースされた作品でした。85年あたりってのが、本当にレコードからCDへの転換が急速に進んだ時期でしたよね。『Deep』についてはLPを買うかCDを買うかで迷った記憶がないので、もう基本CDを買う生活に自分もチェンジしていたんだと思います。(バーブラの作品等は発売の早い輸入盤LPを先に買い、発売の遅い国内盤CDを後で手に入れるなんて贅沢なことをしてましたけど…。)

そんな思い出深い『Deep』のはずですが…売り払ったんですね、わたし。

90年代前後っていうのは洋楽のほうにがっつりとはまっていき、大学生から社会人になっていく中でまぁまぁ懐にも余裕が出来てきて、音楽も湯水のように消費していた時代。一番歌謡曲とは遠いところにいた時期の自分にとって、ナオコさんへのロイヤルティはかなり下がっておりました。
今ならそんな事は考えられないけど、持っていても聞かないなら処分しちゃってもいいかな?なんて大きな気の迷いをおこした時が一回だけあって、忘れもしない当時渋谷の東急ハンズの前にあった中古ショップに持ち込んで売り払ってしまったのでした。まさか20年弱後に再び買い戻すことになるなんてその時は思ってなかったよなー、しかもLPで(smile)。
『Deep』のCDはさすがに転換期の作品だけあって出回った数も少なく、吃驚するような値段でもありませんけど現在若干プレミアがついていたりするんですよね。そこまでして買い戻すのもなんなので、今回お手頃な値段のLPがあったのでそちらを入手してみた次第です。

そんな状況下で聞いてたし、売ったぐらいなので当時はそんなに響いてくる作品ではなかったんですけど、今こうして改めて聞いてみると、良いアルバムなんですよね、これがまた。
書き下ろし作品ばかりではないので若干フェイク気味ではあるんですけど、帯に麗々しく名前が並んでいるように曲提供アーティストがまずはゴージャス。ユーミン、吉田拓郎、さだまさし、五輪真弓、細野晴臣、山本達彦等のアーティスト系に、筒美京平、松本隆、後藤次利、森雪之丞、売野雅勇等の売れっ子専業作家という布陣。

A面は山本達彦さんらしい品のよいメロディーが心地よい「悲しいオペラ」、後藤&売野というアイドル提供なみの売れっ子コンビによる作品で、煌びやかで刹那的な歌詞がドラマティックな曲調と相乗して鮮烈なイメージを焼き付けてくる好曲「ヴェネツィアの情事」、70年代のようなわかりやすい拓郎節とはまた違ったテイストながらも、この時期のオリジナルでは屈指の完成度をほこる名曲「六本木レイン」、追い払えない恋心を役に立たない案山子に例えた、じんわりと染みてくる佳曲「案山子」、アルバム『OLIVE』にも収録されていたユーミンの79年のシングル曲のカバーで、ユーミンには珍しいウェットな歌詞がナオコさんにベスト・マッチな「帰愁」というラインナップ。「帰愁」は、個人的には同年の紅白での歌唱も懐かしいところです。

B面は85年の夏に大ヒットした田原俊彦さんとのデュエット曲「夏ざかり ほの字組」からスタート。軽快ながらも意外にアーバンなメロディーを持ったこの曲、トシちゃんの華やか(?)な歌声に寄り添うナオコさんのいい女っぷりが素敵なんですよね。この大人のビターなラブ・ソング集の中にあって、決して浮いた印象にならないのはそのあたりがきちんと作り込まれているからなのかなと(さすが筒美先生)。
ザ・細野晴臣なオリエンタル・チューン(作詞は松本隆さん…お、「天国のキッス」のコンビですね)の「日本人形」、どこかユーモラスな雰囲気もある五輪(真弓)メロディーが見事にはまってる「ジェラシー」、作家として有名な落合恵子さんが作詞を担当したマイナー系の小品「行き暮れて」、最後はこちらもザ・さだまさしなメロディーを、優しさと悲しさをいっぱいに湛えながら歌い上げた「Deja-vu(予知夢)」が、とても爽やかな余韻を感じさせながらアルバムを締めくくっています。

多彩な作家陣の楽曲を、それぞれの味わいをきちんと残しながら、そして自分の色も出しながらで聞かせたナオコさんがスゴくて素敵すぎる1枚。こういう丁度よいアーバン志向の作品って、なかなかないもんですよね。
20年前の自分に、ダメ出しですわ。

チャートデータ
アルバム
わかりませんでした。
シングル
「六本木レイン」:41位
「夏ざかり ほの字組」:5位
「帰愁」:チャート入りなし



naoko deep.jpgnaoko roppongi.jpg

posted by Suzu at 00:00| Comment(11) | TrackBack(0) | 研ナオコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
このアルバムの頃はいろいろと音楽の形態が変わった時期でした。私もその時々に合わせてカセット、CD、LPとそれぞれ買いました。今持っているのはCDです。
Posted by ニシキ at 2012年09月16日 23:31
ニシキさん、こんにちはです。

ナオコさんで初めて買ったCDがこれだった気がします。当時は色んな方向に興味が拡散していた時期でしたから、まさかの売却という暴挙…汚点ですね。
そして今持ってるのがLPという…(smile)。

過度期を経験してると、色んなソフトで同じものを持つことになっちゃいますよね。勿体ないですけど、発売されれば買わないわけにも(いかないわけじゃないですけど)いかないし…困ったものです。
Posted by Suzu at 2012年10月07日 07:37
最近MP4プレーヤーを購入したので、「Deep」のCDを全曲コピーして聴いています。だいぶ昔の話ですが、高田みづえさんが引退する時に「夜のヒットスタジオ」で、ナオコさんが「六本木レイン」を歌われていました。当時、ビデオはなかったので、カセットに録音して擦り切れるほど聴いたことが、昨日のことのように思い出されます。
Posted by ニシキ at 2012年12月26日 02:43
ニシキさん、こんにちはです。

「六本木レイン」は名曲ですよね!なんでこんな素晴らしい歌が有線ででも火がつかなかったのか不思議なくらいです。私のMP4にも、ナオコさんのアルバム&シングルA面は全曲入ってます。そのうちB面曲もEPから起こして取り込みたいところなんですけど。
Posted by Suzu at 2012年12月31日 12:33
五輪真弓さんの「ジェラシー」も好きです。この曲の入った「恋人よ」というアルバムは、なかなかの名盤です!ちなみに「恋人よ」は、工藤静香さんもカバーされていますね。
Posted by ニシキ at 2013年04月14日 16:03
ニシキさん、こんにちはです。

この曲のよさに気がついてからちょっとしたマイ・五輪さんブームになりまして、ベスト盤をよく聞いてましたです。良い曲いっぱいありますよね。「恋人よ」もCD選書盤があるので、今度じっくり聞いてみようと思います。
Posted by Suzu at 2013年04月28日 07:00
私も「Deep」のCDを売り払った経験があります。あとからものすごく後悔して、近所のレコード屋さんに行きましたが、もちろん「Deep」のCDは置いてありませんでした。今から思うと「Deep」のCDを買うことができたのは、稀だったんだなと思います。
Posted by 晴れ男 at 2013年08月16日 02:01
晴れ男さん、こんにちはです。

あはは、ご一緒ですね(smile)。

今から思えば何て馬鹿な事をと思いますが、当時は他の方とかに興味も拡散していたので、ナオコさんへの気持ちがちょっと離れていたのかなと思います。当時もそれなりにお気に入りでしたが、改めて聞くと本当に良いアルバムだなぁと思いますね、これ。
Posted by Suzu at 2013年08月31日 06:45
「帰愁」という曲は、てっきりナオコさんのための書き下ろしと思っていたら、カバーだったんですね。しかもユーミン自身もシングルでリリースされているので驚きました。ユーミン自身のインタビューを読むと、曲を書いた時は「売れる」と思っていたそうですが、全く売れなかったので悔しかったと仰っていました。どことなく「あの日に帰りたい」の雰囲気もある曲だと思います。
Posted by ニシキ at 2014年01月22日 12:30
Suzuさん、こんにちは。

私が小学3年生の時に最新作として発売されていたのが「Deep」でした。ちょうど誕生日が11月だったので、誕生日プレゼントで「Deep」とみゆきさんの「miss M」のミュージックテープを買ってもらいました。前作の「名画座」もそうですが、こんな程良いアーバン志向のアルバムはなかなかないですよね。ぜひ復刻してほしいものです。
Posted by 晴れ男 at 2014年08月09日 11:02
Suzuさん、お久しぶりぶりです。
最近「Deep」の発売当時のオリコン週間アルバムランキングが分かったのですが、1985年11月25日付けで99位でした。
最新アルバム「雨のち晴れ、ときどき涙」は初登場88位で、アルバムのトップ100入りは29年半ぶりだったようです。
Posted by ニシキ at 2017年11月10日 21:12
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