おいおい話すけれど 出生の秘密は複雑で…
百聞は一見にしかず、という事で、文章で伝える音楽ブログとしては邪道なんですけど、まずはこれを皆さんに聞いていただきたいと思います。
「ナラタージュ」:You-Tube→http://www.youtube.com/watch?v=YwhEFghC-J4
場末の酒場で語られる主人公の身の上話。母親の眼を盗んで化粧をした事、学芸会で主役を演じた事、学校を退学した事、好きな男を母親に紹介した事、その男を恋路の果てに殺めてしまった事…そんな話しが語られた最後の最後に明かされるのは、物語の根底に横たわっていた哀しい真相。まるで世界がくるっと反転するような衝撃に、主人公の恐ろしいまでの孤独が炙り出される仕掛けになっています。
作曲筒美京平、作詞阿木耀子コンビによる大人の為の暗黒の寓話。阿木さんのトリッキーな歌詞が何といっても際立つのですが、しかしこの世界を可能たらしめているのは、梓みちよさんという強烈な個性があってこそだと思うのです。
本ベストは梓みちよさんが長年在籍したキング・レコードからCBS・ソニーに移籍してリリースした11枚のシングルと6枚のアルバムから、2枚のCDに厳選した38曲を収めたベスト盤。
先の筒美京平、阿木耀子コンビを筆頭に、安井かずみ&加藤和彦夫妻や、五輪真弓さん、岩谷時子さん、阿久悠さん等が、梓みちよさんでなければ表現できない気高くも哀しい大人の恋物語を競うように綴っています。オリジナル曲に混じって、アバやロバート・パーマー、グロリア・ゲイナーにシカゴなんていうバラエティ豊かな面々のカバーが収められているのも聞き物のひとつ。この辺りの選曲はさすがCBS・ソニーさんならではって感じで、その何ら違和感のない仕上がり具合は、ほとんどカバーというよりはオリジナルの域に達しております。
煙草のCMソングとしてヒットしたアタックの強いメロディが華やかな「よろしかったら」(これも阿木さんの詞が印象的!)、よりアダルトなポップスとしてアレンジし直された代表曲「二人でお酒を」、哀しくも洒落たシャンソンの「恋はウー・ラ・ラ・ラ」、主人公の孤独感が胸に迫って痛すぎる「小心者」、高い岸から暗く渦巻く海を見つめるような不穏さがたちこめる井上陽水さんのカバー「ジェラシー」等など、色で言えば真紅と黒の世界。ある種江戸川乱歩の世界観にも通じるような絢爛たる退廃が繰り広げられる、あまりにも濃厚な密度を誇る楽曲群が詰まった珠玉の作品集でございます。
しかしニュー・シャンソンとは、よく名づけたものですね。ちょっとこの世界、迷い込んだら抜け出すのに相当の時間がかかると思いますよ。
チャートデータ
チャートインなし
「よろしかったら」:You-Tube→http://www.youtube.com/watch?v=T9-sppFCb3g
「リリー・マルレーン」:You-Tube→http://www.youtube.com/watch?v=eI6txXP5-yw
キング時代のベストとソニー時代の安価な1枚ものベスト。


『二人でお酒を』ほどはポピュラーでないのが、ちとくやし。(^^;;
CMは、かとうかずこさんでしたよねぇ。
いいですよねぇー「よろしかったら」。何でこんな曲をという眼で見られながらも、負けずにカラオケで歌ってしまいますもの。
煙草のCMだったという記憶しかないんですが、かとうかずこさんでしたか。色っぽいCMだったんでしょうね。