2008年12月25日

谷山浩子『歪んだ王国』(92年)

Hiroko Taniyama:Yuganda Okoku(92年)

クリスマスの夜に浩子さんを聞こう!(普通嫌か…)。

てな訳で谷山浩子さんなのですが、意外と谷山さん、NHKのみんなのうたとかでも放映されるほのぼのした童謡チックな歌も作れてしまうので、お母様方の知名度は高いらしいですね。

童謡っていうのは、意外と怖いものがありまして、谷山さんの場合もそのふり幅の大きさが半端ではなく、歌詞の中にも「あなたを殺す」だとか「死者のざわめき」だとか「死骸がふえていく」等、およそポップ・ミュージックには縁のないようなフレーズがバンバン出てきてしまう、奇特な言葉の妖術師だったりするわけです。
いわゆるダーク・ファンタジーものとでも言いましょうか、日常とはかけ離れた異国の世界で起こっているような物語を紡ぐのが上手な谷山さんの、傑作のひとつに上げられるのが、本日ご紹介の『歪んだ王国』であります。

もうタイトルからして、普通のポップ・ミュージックがそこで聞けるなんて到底想像できませんものね。様式美的な美しさの構築に共通点のある新本格派の代表的な推理作家綾辻行人氏を一部の作詞と何とゲスト・ヴォーカルにまで迎えて語られるのは、メルヘンの世界(といってもそこは我々の心の内側にきっと存在する世界)で起こるダークなダークネスなダークネスト(そんなのない?)な物語。

歪んだ王国とそれを取り囲む深い森の中で起こる白昼夢〜ナイトメア
リリカルな美しさを湛えた上でドラマティックな展開を見せるメロディと、迷宮に暮らす歌の主人公たちの閉塞的な愛情や妄想とも思える世界を描写した歌詞は、氷のように冷たい手で心臓を弄られているような気分にさせられます。谷山さんの声の美しさとあたりを静寂に導く闇の深さはもう独壇場の一言。部屋の電気を消して、暗闇の中でどっぷりとこの世界に浸るのが、きっと最大限この作品を楽しむことが出来る方法なんでしょうね。

谷山さんは、どうやったらこんな物語を思いつくのかなぁ。空想するにしたってもう少し楽しい事を空想したらいいのに。歪んだ王国の広間の地下には巨大な迷宮。そこから聴こえてくるのは死者のざわめきと身もだえ泣く声…ダークにもほどがありますよ(smile)。

怖くてしかし美しいものが聴きたい方(いるのかそんな人?)にはお薦めです。普通の方は、きっとこの迷宮には足を踏み入れないほうが無難だと思いますよ。出口が見つからなくなりますから…。

チャートデータ(オリコン)
アルバム 29位

「王国」:You-Tubehttp://jp.youtube.com/watch?v=q9ubkU42OXA
「会いたくて」:You-Tube→http://jp.youtube.com/watch?v=nifIf_3VIxU



3枚目は過去の提供曲等も取り上げたピアノ一本での弾き語りによる最新アルバムです。
posted by Suzu at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 歌謡曲/J-POP系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
高校1年の頃(今から14年前とか)に、谷山さんの大ファンであるクラスの同級生がいたのを思い出しました(市議会議員の息子だった)。当時、あまりにも谷山さんをスキスキスキって言いまくってる人で、僕を含め周りの人はみんなチンプンカンプンでしたけど。レビューを見る限りでは…なんかホント迷宮入りしそうな印象(笑)。
Posted by YO-SUKE at 2008年12月27日 09:28
YO−SUKEさん、こんばんわです。

私の友人にもひとりだけ谷山さんの大ファンがいまして、その昔凄くいい!って薦められたんだけど、結局その時は聞きませんでしたもんね。
中島みゆきさんとかより、もっと人を選ぶタイプのアーティストかも。でもはまると抜け出せないっていうのが、もの凄くよくわかります。私も既に片足突っ込んでしまいましたから(smile)。
Posted by Suzu at 2008年12月28日 22:00
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