ピーポ・ブライソンさんというと、やはりロバータ・フラックと小柳ルミルミのテーマ曲「愛のセレブレイション」を歌った人、もしくは「美女と野獣」「アラジンのテーマ/ア・ホール・ニュー・ワールド」等ディズニー映画御用達の歌手、そしてそれらの影響からかバラードを歌う歌手…バラーディアとしての認知、というのが一般的なところなのじゃないかと思います。
私も「愛のセレブレイション」の頃は単にロバータと一緒に歌っている人、ぐらいの認識しかしてませんでしたが、91年にR&BチャートでNo.1を獲得した「キャント・ユー・ストップ・ザ・レイン」の頃から注目しだし、ディスニーの2曲で駄目押し、94年の『スルー・ザ・ファイア』なんかもよく聴かせていただきました。
そんなピーボさん、キャリアを見ると既に1965年、14才の頃からR&Bグループに加入して活動を開始、10年間ほどのバンド活動の後76年になってようやくソロ・シンガーとしてのディールを獲得したというかなりの苦労人さんでもあります。78年の「リーチング・フォー・ザ・スカイ」のヒットから、特大ヒットはなかったものの1〜2年に1曲の割合でR&Bのトップ10ヒットを放つ等、その実力で非常に安定感のある活動を展開。今回ご紹介の2作品はそんな安定期からもう一段上の成功にむかって走り出した頃の、勢いのある2作品(2in1でのリリース)でございます。
Staright From The Heart(84年)
ビルボードのポップ部門で初めてトップ10入りを果たした「愛をもう一度/If Ever You're In My Arms Again」を含むヒット・アルバム。「愛をもう一度」はマイケル・マッサー、トム・スノウ、シンシア・ウェルという黄金トリオが書いたコンテンポラリーなラブ・バラードで、ピーボさんのふくよかな歌声が心地よく響く逸品。ゆったりとロマンスを語る「スロウ・ダンシン」に始まり、ドナの「情熱物語」を彷彿とさせるドラム・イントロから入る打ち込み系のアップ・ナンバー「ストレイト・フロム・ザ・ハート」や「アイ・ゲット・ナーバス」、しっぽりと歌いこむ「ゼアーズ・ノー・ゲッティング・オーバー・ユー」にマッサー&ゴフィンによるジェントルなメロディのバラード「ラーニング・ザ・ウェイ・オブ・ラブ」等、全く淀みない展開が素晴しい充実した作品です。
チャートデータ
アルバム
Pop 44位/R&B 12位
シングル
「If Ever You're In My Arms Again」:Pop 10位/R&B 6位
「Slow Dancin'」:Pop 82位/R&B 35位
Take No Prisoners(85年)
プロデューサーにアリフ・マーディンとトミー・リピューマという2大看板を迎えた作品。のりのよいミドル・アップのタイトル曲で軽やかにスタート、2曲目の「ゼアーズ・ナッシン・アウト・ゼア」にはアリフ繋がりでチャカ・カーンが登場、冒頭のラップ部分や途中のコーラス等かなり活躍頻度が高く、どうせならデュエットにしてしまえばよかったのにって思う1曲。更にポップな味付けでカシーフを含むコーラス隊とのレスポンスも爽やかなスパイスになっている「レッツ・アポロジャイズ」、ビート・ライクな「イレジスタブル」と、ここまでの4曲は全てアリフ・マーディンのプロデュースによる珍しくも(?)アップ・ビートなアゲ・モード攻め。後半5曲は真ん中にアリフ・プロのものも挟みながら、プロデュースをトミー・リピューマにバトンタッチして、よりコンテンプラリーなタッチのマイルドな世界に移行。光沢のある歌声が映えるバラードの「ラブ・オールウェイズ・ファインズ・ア・ウェイ」、ムーディーなサックス・ソロから始まるミドル・ポップな「フォーリング・フォー・ユー」や「ホエン・ユー・トーク・トゥ・ミー」、ピーボが気持ち良さそうに歌い上げるバラードの「アイム・イン・ラブ」、そしてラストを締めるのはうっすらと哀感のあるメロディのソフトな「シーズ・オーヴァー・ミー」。アップもバラードもいけることは既に承知済みではありますが、アリフの品のあるビート・ナンバーの畳掛けが意外に新鮮な味わいを残す作品。もちろん後半のミディアム〜バラード群の良さかあってのことですけど。
チャートデータ
アルバム
Pop 102位/R&B 40位
シングル
「Take No Prisoners(In The Game Of Love)」:Pop 78位/R&B 39位
「Thre's Nothin' Out There」:R&B 36位
「Love Always Finds A Way」:R&B 63位
チャート的には89年の「ショー・アンド・テル」、91年の「キャント・ユー・ストップ・ザ・レイン」でR&B部門の、ご存知92年の「ア・ホール・ニュー・ワールド」でポップ部門の1位を獲得し全盛期を極めたピーボさん。前述の94年のアルバム『スルー・ザ・ファイア』も良い作品でしたけど、少々メジャー感覚が前に出すぎてしまったのかここから失速してしまったのは残念でした。昨年久しぶりのアルバムをR&Bスターの再起工場とも言うべきレーベル、ピークから発売。まだまだ現役感たっぷりですから、今後の活躍にも期待したいものでございます。
「If Ever You're In My Arms Again」:You-Tube→http://jp.youtube.com/watch?v=8101xuSYcMc
「Thre's Nothin' Out There」:You-Tube→http://jp.youtube.com/watch?v=WsGOuYrMmtg


私もピーボさんのアルバムは5〜6枚しか持っていないですね。上手く言えませんけど、良いってわかってるんだけど積極的に手が出し難い歌手だったような気がします。この2in1も2枚分続けて聴くとけっこうお腹いっぱいになるというか…そのあたりが要因ですかね。
ピーボさん、活動自体は1965年(14才!)ぐらいからヴォーカル・グループの一員としてやってらっしゃるみたいなので、既に85年時点では20年選手なんですね。ロバータやナタリー・コールのデュエット相手を務めたりして、次第にソロとしての知名度も上げていった感じなのかなと思います。「Take No Prisoners」、さすがのアリフ・プロ、お薦めです。