2011年10月31日

研ナオコ『研ナオコ VS 阿久悠』(79年)

Naoko vs. Aku Yu(79年)

79年にリリースされたナオコさん7枚目のオリジナル・アルバム。

前年『vs. Miyuki』として中島みゆき作品集を作った路線で製作されたのは、歌謡界の超大御所作詞家阿久悠先生の作品集。
ジャケット写真も素敵なナオコさんのドアップ・ポートレイトですけど、中の歌詞カードも2面折りでドレスアップした美しいナオコさんのショットを掲載。阿久先生直々のエッセイ風推薦分に、おまけとして「今…ナオコ 君の唇に色あせぬ言葉を」という先生お気に入りの言葉が添えられた直筆の色紙(もちろん印刷ですけど)が単体でついていて、かなり力の入った企画であった事がうかがえる仕様になっています。
この前のリリースが『かもめのように』、『Naoko vs. Miyuki』、この後が『あきれた男たち』、『恋愛論』と、良質なアルバムを次々とリリースしていた時期の作品ですので、こちらのアルバムへの期待値というのも相当なものがあったのですが、やはりというか当然というか、充実しまくりのナオコさんの名唱がたっぷり楽しめる作品に仕上がっています。

カバーが8曲に、シングル・リリースもされたオリジナル楽曲が4曲という構成。
北原ミレイさんの「ざんげの値打もない」、藤佳子さんの「別れの旅」、大橋純子さんの「たそがれマイ・ラブ」、都はるみさんの「北の宿から」、岩崎宏美さんの「あざやかな場面」等、オリジナル歌手の個性や印象が強い楽曲たちを、こともなげに自分の世界に引き込んで、まるで自分のために作られたオリジナル曲のごとく聞かせてしまうナオコさん。声量が山ほど必要な気がする大橋さんの曲や、あれだけ大ヒットした都はるみさんの曲ですら、本当に何の違和感を感じさせる事なく聴かせることが出来るんですから、この時期のナオコさんに神が降りていた説というのも、本当だよなぁと思ってしまいます。
ブラス歌謡風にアレンジされた杏真理子さんの「さだめのように河は流れる」、優しさのにじみ出た堺先生の「街の灯り」等も素敵すぎ。

オリジナル曲はイントロのスリリングでドラマティックなアレンジが秀逸な「陽は昇り 陽は沈み」、80年代の大人のいい女路線を先取りした「口紅をふきとれ」のシングルA面曲と、そのカップリングだった「グッバイ」と「愛の喝采」を収録。
どちらもかなり力のこもった作品だったのですが、残念ながらヒット曲にはならず、阿久先生も生前執筆されていたHP上のコラム「あまり売れなかったがなぜか愛しい歌」の中で「口紅をふきとれ」を取り上げ、その事を残念そうに述懐されています。
実はナオコさんがキャニオン・レコードに移籍する前、最初に所属した東宝レコードにて、デビュー曲の「大都会のやさぐれ女」以外7枚リリースしたシングルは全て阿久先生が作詞を担当されていたんですよね。阿久作品では目が出ずその後宇崎竜童&阿木耀子夫妻、中島みゆき作品などでヒットを飛ばしてメジャー歌手となったナオコさんに再び楽曲を提供する事になり、阿久先生もそれなりの意気込みでリベンジに挑んだのは間違いないはずなので、余計に思い入れは強かったんだろうなと思います。

ナオコさんのメジャーなヒット曲は、前述の2組の他に桑田佳祐さん、小椋桂さん等いわゆる少し歌謡畑とは違った作家から生まれたものばかりで、いわゆる専業作家で大ヒットした作品ってないんですよね。純正歌謡曲歌手であるナオコさんと純正歌謡曲作家の作品では、水が合いすぎてスリルに欠けちゃうんでしょうか?
面白いもんだなぁと思いますです。

傑作・秀作揃いの本アルバムですが、唯一穴があるとすれば「愛の喝采」でしょうか。阿久先生描き下ろしのコンサート終幕で歌われるようなスケール感のあるバラードなんですが、どうにもこうにもこういう大仰な世界は、ナオコさんに合わない。ふられ歌恨み歌ばかりのナオコさんにこういう曲があってもいいんじゃないか?という先生の思いはわかるけど、残念ながらこういう真正面から愛を歌い上げるような曲は、彼女の個性と相入れないものがあるなと思います。
「らしく」ないし、「らしさ」が全く出てないんですもん。

そんな訳で、本当に良いアルバムなんです。ちょっと不謹慎かもしれませんけど、阿久先生がお亡くなりになった後のリイシュー・ラッシュのタイミングとかでCD化されたなら、多少の話題にはなったかも。
ま、そんな注目を集めるような展開にならないのが、ナオコさんらしいんですけど…。

チャートデータ
アルバム
わかりませんでした。
シングル
「口紅をふきとれ」:55位
「陽は昇り 陽は沈み」:33位



naoko akuyu.jpgnaoko rouge.jpgnaoko hiwa.jpg
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2011年10月30日

研ナオコ『一途』(11年)

Naoko Ken:Ichizu(11年)

ナオコ、ナオコ、ナオコ…。 

研ナオコさんの3年ぶりのニュー・アルバムでございます。

初めて「歌手」いう存在のファンになったのが研ナオコさんでした。小学生の時だったのであれから30数年が経つことになりますね。とにかく彼女への思い入れは強くて、歌も大好きだったけど、タレントとしての存在感、人となり等にも惹かれていた部分があった私。ただそうやって勝手に思い入れが強かった分、次第に何だか納得出来ない、というような事も多くなってしまって、歌手業があまり表立たなくなっていった事もあり、どこか遠巻きに見ているようなところ、一ファンが言うのもおかしな話ですが、とにかくあまり関わらないようにしようとしていたところがありました。

それでもやっぱりナオコさんの歌う歌は大好きで。
自分の中のベースにはナオコさんの歌がもうどうしようもないぐらい根付いてるんですよね。
ここのところツイッター等でナオコさんファンからのお話を聞く機会も多くなり、自分の中の「大好き心」が揺さぶられる事が度々あったので、ここは面倒くさい個人的な感情等は抜きにして、もう一度彼女の作品を純粋に楽しみたい!と思うようになった次第です。

…って、何の話だかわからないでしょ(smile)。本当に、勝手なファンの暴走妄想なのでお許し下さい。

そんな訳で、ここのところのナオコさんの作品はほとんど手にしていなかった(…といってもそんなにたくさん出てた訳じゃないですけど)のですが、手始めにという事でタイミングよく発売されたニュー・アルバムをお取り寄せいたしました。
こちらはナオコさんのHPケンズ・ファミリーさんに直接注文したのですけど、最新作『一途』に一昨年リリースされたライブ・ハウス・ツアーの模様を収めたDVD『研ナオコ 感 〜feel〜 Vol.1』がセットされて、奥さん驚きの1,500円ぽっきり!という優れ物。インディーズ作品なので基本通販のみの販売で、一応このDVDセットは初回限定という事らしいです。アマゾン等でも購入出来るんですが、説明にはあくまで1枚ものとしか表記されていないので、お買いになるならケンズ・ファミリーさんのほうに問い合わせの上注文されたほうが無難かなと思います。

そしてこの『一途』という作品。…あぁ、もう眩暈がしちゃう。

この10数年、どうしてもテレビ等でナオコさんが歌っているのを聞くと、正直声の出てなさ具合に残念な思いをさせられる事が多かったのですが、ここのところだいぶ持ち直してきたという噂もちらほらと。
そんな噂を証明するかのように、来ましたよ皆さん、来ましたねこれは。

1曲目に収められている「コントロール」、これが本当に素っ晴らしい。

昨年残念ながら鬼籍に入られた浅川マキさんが83年にリリースした曲のカバーで、後藤次利さんが作曲、マキさんが作詞をした、マキさんには割と珍しい(んじゃないかと思う)歌謡曲テイストを感じさせる楽曲なんですが、これが吃驚するぐらいナオコさんにはまってる。歌の世界観といい、もうナオコさんのために作られたオリジナルなんじゃないかと思うぐらいです。ミソとしては最近出にくくなっている高い音(声)を出さなくてもいいというのもあるんだと思いますが、味わいを増した中低音が曲の間を滑らかに泳いで行って、本当に全盛期のナオコさんを髣髴とさせる1曲になっています。ギターをじゃかじゃか鳴らすアレンジもかっこいいんですよね。あまりに素晴らしいんで、追いかけてマキさんのオリジナルも購入いたしましたが(大きな声じゃ言えませんけどナオコさん、オリジナル超えちゃってます)。

この1曲だけでも十二分に満足なのですが、そこから続くセルフ・カバーを中心とした5曲もなかなかの聴きもの揃い。
特に語り歌として生まれ変わった「愚図」にはぞくっとさせられました。宇崎竜童さんがコーラス参加したジャジーな「Tokyo見返り美人」、荘厳な「かもめはかもめ」、ひばりさんへの思いを込めて歌われる「愛燦々」、そして阿木&宇崎夫妻による書き下ろしの新曲「一途」も味わいのある佳曲で、どの曲にも今のナオコさんの歌の魅力をしっかりと感じる事が出来たのが何よりも嬉しかったです。

ついでにDVDのほうにも触れちゃうと、デビュー40周年を目前にしてのライブ・ハウス公演の模様が収められているのですが、ご本人もトークで触れているように、彼女の歌は本来大ホールで聞くよりも、こういうインティメイトな空間で聞いたほうがより映えるタイプの曲が多いので、このライブ・ハウス公演というのは大正解なんですよね。最初の3曲(せっかく中島みゆきパートなんですけど)は空間に慣れないせいか緊張してるのが歌にも出ちゃってるんですけど、阿木&宇崎曲に移った4曲目の「身も心も」から調子をつかんだようで、友人内藤やす子さんの「想い出ぼろぼろ」等は、さながら自分のオリジナルのような消化具合で披露。由紀さおりさんの「TOKYOワルツ」も凄く良いし、(あまり曲は好きじゃないんだけど)すぎもとまさとさんの「吾亦紅」もじっくりと聞かせてくれます。後半のオリジナル楽曲パートも以前に比べれば格段に声も出ていていいんですけど、ファン・サービス的に1コーラスを披露するテレサ・テンさんの「つぐない」と愛娘ひとみさんと共演する狩人の「あずさ2号」がまたすごく良かったりするんですよね。ほんとうに地力を持った歌い手さんってのは凄いんだなぁと、あらためて研さんの歌の魅力に酔わされた作品でございました。

ライブ、行きたくなっちゃったな。

ファンだファンだと言いながら、意外にナオコさんの作品で取りこぼしているのも多いので、これからそのあたりなども発掘していきたいと思っております。レコードも掘り起こしやすくなった事ですし(smile)。
はぁ、やっぱりナオコさん、大好き。

チャートデータ
チャート入りなし。


残念ながら「コントロール」がYou-Tubeにはないようです。聴いてもらいたかった…。
代わりにライブ・ハウスの模様を。


「feel」、単品だと5,000円もするんですよね…。
posted by Suzu at 00:30| Comment(6) | TrackBack(0) | 研ナオコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月29日

ハイ・イナジー『ターニン・オン』(77年)

High Inergy:Turnin' On(77年)

そんな訳で、流れに乗ってハイ・イナジーでございます。

何でも初めの頃に見知ったものというのはやはり強烈な印象となって残っていたりする訳ですけど、このハイ・イナジーもそんなグループのひとつ。
前回のジェニファー・ホリデイの時に書かせてもらいましたけど、モータウン25周年のステージで見た彼女たちの歌と姿は非常に好印象で、いつかどこかで…なんて思っているうちに早20数年。どーしてこんなにも冷遇というか手つかずのままなのか、ちょっとばっかし不思議なんですよねぇ。

彼女たちの情報というのはネットで検索してみても海外を含めほとんど出てこなかったり、国内のR&B本でもほとんど紹介されていないのですが、わかる範囲(Wikipediaの引用になります)で書くと、カリフォルニア州のパサディナで結成された、リード・ヴォーカルを務めるヴァネッサとバーバラのミッチェル姉妹にリンダ・ハワード、ミシェル・マーティンを加えた4人組(彼女たちを見出したのはベリー・ゴーディの姉グウェン・ゴーディーだそうな)。セカンド・アルバムリリース後にヴァネッサが脱退してゴスペルに転向、以降はバーバラを主にリードに据えたトリオとして活動したようです。
77年から83年まで、毎年アルバムをリリースしていて合計8枚。シングルは9曲がR&Bチャート、内3曲がポップ・チャート入りしていて、一番のヒットはデビュー曲である「恋をとめないで/You Can Turn Me Off(In The Middle Of Turning Me On)」のR&B2位/ポップ12位。他はほとんどが50位前後の小ヒットにしかなっていませんので、このあたりがリイシューに声がかからない理由なのかなと。まぁそれでも8枚ものアルバムをメジャーのモータウン(ゴーディ)からリリースしたんですから凄いちゃあ凄いんですよね。今だったら2〜3枚目ぐらいで即契約打ち切りでしょうし、まだまだそういう事が許された良い時代だったんだなーと思います。

という事で、本当は私が彼女たちを知るきっかけになった曲「ヒーズ・ア・プリテンダー」の入った8th・アルバム『グルーブ・パトロール』をご紹介したいところだったんですが、そううまいこと出会いもなく、今回は彼女たちの77年のデビュー盤であり、前述の最大ヒット・シングル「恋をとめないで」を収録した『ターニン・オン』を取り上げたいと思います。

本当に情報がないのでこの当時の彼女たちの年齢がわからないんですけど、ジャケット写真を見る限りでは20才前後といった感じでしょうか。
若さ溢れるヴォーカル&コーラス・ワーク(レコードだから余計に音が割れるわ歪むわ)で勢いよく弾ける1曲目の「ラブ・イズ・オール・ユー・ニード」から一転、ヒットした「恋をとめないで」ではスローからミディアム・テンポに展開していくグルーヴィーな楽曲を、メロウな雰囲気を漂わせて披露。
主にリードを務めるヴァネッサは清涼感のあるクリアな歌声の持ち主なんですけど、そのクリア感を保ったままどんどんヴォルテージを上げていけるタイプの歌い手さんで、「サム・カインダ・マジック」の後半でどんどん舞い上がっていく歌声等は実に爽快。「レット・ミー・ゲット・クロース・トゥ・ユー」から始まるB面真ん中3曲でのスロウ〜ミディアム・パートも美しい歌声を存分に生かして非常に聴き心地の良い好曲に仕上げています。
バーバラをはじめリンダ、ミシェルも相応の実力を有しているようで、「エイント・ノー・ラブ・リフト」や「ハイ・スクール」での溌剌としたコーラス・ワークは高揚感たっぷり。
若いながらも持てる実力によって後押しされたような成熟感が全編にあり、そのアンバランスさがまた魅力的な作品だと思いました。

このデビュー盤ぐらいは、CD化されても全然おかしくないと思うんですけどね。
だいたいベスト盤の1枚も出てないってのが本当に不思議。
(何かレーベル側と、個人的な確執とかあったりするのかなぁ…。)

ちなみに「ヒーズ・ア・プリテンダー」ですが、ジェニファー・バージョンと比べるとやはりこちらのほうがよりグルーヴィーな好曲に仕上がっていると思います。楽曲との相性というかフィット感が格段にこちらのほうが自然なんですよね。やはり曲もその人の身の丈にあってるかどうかというのは大事だなと…。

チャートデータ
アルバム
Pop 28位/R&B 6位
シングル
「You Can't Turn Me Off」:Pop 12位/R&B 2位
「Love Is All You Need」:Pop 89位/R&B 23位



high inergy.jpg
こちらが20数年前にぐっと来たモータウン25周年のステージの模様です。

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2011年10月24日

ジェニファー・ホリデイ『セイ・ユー・ラブ・ミー』(85年)

Jennifer Holliday:Say You Love Me(85年)

レコードには手を出すまいと言う誓いが、破れてしまいそうです…。

仰々しく強調文字にしてみました(smile)。
まぁとにかくうちはCDやらDVDやらが溢れかえっているので、LPなんて更に場所をとるものはもってのほかなんですけど、実際CD化されていない作品って案外に多いですし、正直中古屋さんに行っても欲しいCDなんて滅多な事では出会わなくなってきているのが実情。その点LPの棚を覗いてみると、聴きたかった作品や知らないけど聞いてみたい作品が安価な値段でゴロゴロしてたりして、もうカモ〜ン状態な訳です。一生懸命そんな気持ちを抑えてきた私ですが、先日どうしても聴きたいけどLPでしか出ていない作品が出来てしまい、あちこち捜し歩いているうちにどんどんとLPの魔に犯されてしまってセールの勢いで5枚購入。家にあるほっておいたデジタル形式に変換出来る機能がついたアナログ・プレイヤーを使いこなしてみると、意外に簡単にiTune等に落とし込める事を発見したりして、もう今じゃすっかりLPコーナーばかりを漁ってる私…みたいな。

いかんのですけどね。

そんな訳で、今後はLPからのご紹介なんてのもさらに増えていくかもしれません。聞いてないCDだって山のようにあるのに…ははは(汗)。
ま、そんな前置きをしておいて、本日ご紹介するのは先日お買い上げしたその最初の5枚の中の1枚。ジェニファー・ホリデイさんが85年にリリースしたセカンド・アルバム『セイ・ユー・ラブ・ミー』でございます。

彼女のディスコグラフィーをきちんと見たことがなかったというのもあるのですが、このアルバムの存在を全く知らなくてLP棚で初めて邂逅いたしました。彼女のアルバムでは唯一これがCD化されてない作品のようです。

それでまたこれが凄くいいアルバムで。
個人的なトピックとしては2つ。まずはアルバム巻頭を飾る「ユーアー・ザ・ワン」という曲を作/プロデュースしているのがあのマイケル・ジャクソンさん。ミュージカルのオープニングを思わせるような爽やかでメルヘンチックな1曲で、小鳥がさえずっているようなヴォーカルを聞かせるジェニファーさんがまた素晴らしくキュート。歌に漂う清らかさというかイノセントな感じが実にマイケルっぽく、しかもジェニファーさんにベスト・マッチングしてるんです。楽曲の魅力、パフォーマーの魅力が相乗効果を発揮した素晴らしい作品だと思います。
もう1曲は「ヒーズ・ア・プリテンダー」という曲なんですけど、これ、モータウンのガール・グループ、ハイ・イナジーのカバー曲なんです。83年にマイケル・ジャクソンがあの「ビリー・ジーン」の伝説的なパフォーマンスを行ったモータウンの25周年記念コンサートに、期待の若手的な立ち位置で出てきたのがデ・バージとハイ・イナジーの2組。その時彼女たちがパフォーマンスしたのがこの「ヒーズ・ア・プリテンダー」で、かれこれ20年ぐらい前に見た時からこの曲が凄く気になっていたんですけど、何しろハイ・イナジー自体が全くのノーCD化で今まで来ているのでその曲にも出会えず、巡り巡ってこのジェニファーのアルバムの中で邂逅してしまった、という次第です。正直聞く人が聞けばなんてことないポップ曲なんでしょうけど、こういうこじんまりとかっちり出来上がった曲って、自分の好みなんですよね。大きな身体をむりやりビートに詰め込んだようなジェニファーさんの歌いっぷりにもはまっちゃうんです。

他にもブルース・ロバーツ&アンディ・ゴールドマークコンビによる(いかにも彼らが作りそうな)ポップ・ロック調の「アイ・レスト・マイ・ケース」や、迫力いっぱいのビート・ライクなアップ・ナンバー「ホワット・カインド・オブ・ラブ・イズ・ディス?」、重量感のあるミディアム「ハード・タイム・フォー・ラバーズ」、ナタリー・コール等も歌っている美しくもスケール感豊かなバラード「セイ・ユー・ラブ・ミー」、デューク・エリントンのクラシックをゴージャスに歌い上げる「カム・サンデー」等、聴きどころがいっぱいです。
何でしょう、声の圧力にツボ押しされて、聴き終わるとすっきりするというか心地よい余韻に包まれる感じなんですよね。

こういう作品を埋もれさせておくのは、もったいないですね。
多くの方が聞けるように、やはりCDでのリイシュー希望です。

チャートデータ
アルバム
Pop 110位/R&B 34位
シングル
「Hard Time For Lovers」:Pop 69位/R&B 17位
「No Frills Love」:Pop 87位/R&B 29位



jennifer sylm.jpg
ベスト盤には本作から3曲収録されています。
posted by Suzu at 23:30| Comment(2) | TrackBack(0) | R&B系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年10月23日

マネキン『マネキン』(89年)

Maniquin:Maniquin(89年)

マネキン知ってる!…という方は間違いなくその筋の方、と言う事になると思いますけど、R&B界きっての美形男性シンガーとして知られ、(最近破局しちゃいましたが)シャンテ・ムーアとの熱々おしどり夫婦デュオぶりが羨望の的でもあったケニー・ラティモアが在籍したR&Bグループでございます。

ヒット曲が出なかったにも関わらずほとんどの80年代のR&B本等に紹介記事が掲載されているのには訳があって、前述のケニーさんが在籍していたというトピックの他にもうひとつ、プロデュースをギャップ・バンドのチャーリー&ロニー・ウィルソン兄弟、キャメオのチャーリー・シングルトン、スターポイントのアーネスト・フィリップス&マービン・イニス、P-ファンク軍団のバーニー・ウォレルというファンク界を代表する錚々たるメンバーが請け負っていたからなんですね。

こうなればどんだけ豪快なファンク・アルバムに仕上がってるの!?と思うのが普通でしょうけど、何せリードがスムース・ヴォーカルが売りのケニーさんなものですからそんな訳にもいかなくて、もちろん「シャイン・ア・ライト」や「ホワイ・ドュ・ユー・ライ」等のファンクのりを持つ曲はケニーらしい消化ぶりで聞かせてくれてますけど、その他は基本オシャレ系ブラコンに出来上がってしまっているというのが、実は失敗の要因だったのかなとも思います。まぁそういうファンクへの期待値みたいなものを取り払えばぜんぜん楽しめるアルバムで、89年と言う時代を反映してか、1曲目のウィルソン兄弟による「アイ・ワナ・ライド」はどこかラフェイス(LA&ベビーフェイス)制作を思わせるしなやかR&B曲。チャーリー・シングルトンが出がけた「ナウ・アンド・ゼン」はデビッド・フォスタープロがと思わせるようなAORナンバーだし、マービン・イニスによる「ファニー・フィーリング」はほんのりと哀愁漂うミディアムで本盤の個人的なハイライト。要は、みなさんケニー・ラティモアという歌手の個性をきちんと見極めて楽曲提供している訳で、優秀なプロデューサーさん達だという事ですよね(smile)。

ファンクという意味ではもう一人のヴォーカリスト、デビッド・ニュースがリードをとるナンバーが期待に応えてる感じで、バーニーの「メン・ウィル・ビー・ドッグ」やC・シングルトンの「テイク・ケア」、「ホット・ン・セクシー・リル・ダイナマイト」等がそっち系の猥雑さを表出させた仕上がりになっています。

実は本作、R&B本で見かけてからずっと気にかけていたのですが出会わずで、つい先日LPレコードが300円ぐらいで売られてるのを発見。LPは買っちゃダメ(場所とるでしょ…)という禁を犯して買ってしまった一品なのです。何となく80年代だという事でCDがリリースされていないイメージがあったのですが、クレジットをよく見てみるとリリースが89年。おやおや、これだったらCD出てるっしょ?と思って検索してみると外国のアマゾンのほうで普通に1,000円ちょっとのお気軽価格で手に入れられる状況。なーんだ、と言う事でそちらも早速お取り寄せした次第です。もちろん、さらに怒られた事は言うまでもありませんけど…(smile)。

残念ながら前述のように日本の市場ではあまり見かけませんが、外国のほうならけっこう手軽に手に入る作品のようですので、興味のある方はお取り寄せいただいても損のない作品だと思います。
ケニーさんは今離婚後初のアルバムを準備中らしいですね、楽しみです。

チャートデータ
チャート入りなし



maniquin.jpg
今となっては…な濃厚デュオ作。やらしーです。


posted by Suzu at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | R&B系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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